第11章 【刺激的な授業】
そして結局なにもしないまま、とうとう飛行訓練当日がやってきた。生徒は午後からの飛行訓練を期待する者と懸念する者に分けられたが、どちらにせよ教室内はその話しで持ちきりだった。
ドラコはいつも通り自分がいかに飛行術の才能に恵まれているかを声高に喋っていたし、ロンはシェーマスとご贔屓チームについて熱く語り合い、グレンジャーはクィディッチ今昔という本で得た知識を頼んでもいないのに熱心に説き聞かせた。
それを見て「本を読むだけで空を飛べたら苦労しない」と鼻で笑ってやりたがったが、ネビルがあまりに一生懸命グレンジャーの話を聞いていたので、ついに言ってやる事が出来ないまま飛行訓練の時間を迎える事になった。
「なにをボサッとしているのです、早く箒の横に並びなさい!!」
飛行術のマダム・フーチは、短髪に猛禽類のような目をした厳しそうな先生だった。校庭に平然と並べられた箒の横に生徒を立たせると、いかに飛行術が危険で、真剣に取り組まないといけないかを説明した。それが終わると、もうさっそく実技練習をすると言い出した。
「私が笛を吹いたら、右手を箒の上に掲げてこう言いなさい、『上がれ!』」
マダム・フーチが素早くピーッと笛を吹くと、生徒が一斉に「上がれ!」と叫んだ。