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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第11章 【刺激的な授業】


 シェーマスは箒に乗ってよく田舎の空を飛び回ったと語り、ロンとディーンはクィディッチとサッカーどちらの方が面白いかで、よく口論をしていた。ドラコは『飛行術については』話さなくなったものの、よく聞こえよがしに「僕が寮の代表選手になれば簡単に優勝できるのに」と自信たっぷり回りに吹聴した。

 それだけでもストレスが溜まるというのに、ロンは暇さえあればクィディッチのイングランドチームの歴戦の数々をハリーとクリスに聞かせ、意見と言う名の賞賛を求めた。とくにハリーはマグル育ちなのでクィディッチチームにはあまり詳しくないからと、同じ魔法族出身であるクリスに話しをふる事が多かった。

「クィディッチなんてつまらない。人が箒に乗ってボールを奪い合うだけだ、美しさの欠片もないな」

 だからクリスが面と向かってこう言った時のロンの顔は、例えようのないくらい間抜けで面白かった。例え世界中の人が熱中していようとも、クリスにとって見ればクィディッチとは忌むべきスポーツの1つだ。だいたい自分が箒に乗れないのに、何が面白くて他人が悠々と箒で空を飛んでいる姿なんかを拝まなくてはいけないのか。

 去年ドラコがクィディッチのワールドカップがあるから一緒に行こうと誘ってきたが、クリスはキッパリと断った。素晴らしい試合だからきっと見たら好きになれると説得してくれたが、それでもクリスの気は変わらなかった。他人の――大抵それはドラコの役目だが――後ろに乗って空を飛ぶ分には何の問題もない。ただ地上から負け犬のように空を見上げるのが悔しくて、無性に腹が立つのだ。だがもちろん、ロンはそんなこと知る由もない。

「クリス、君は前々から少し変わってると思ってたけど今ハッキリしたよ。少しじゃなく、君は変だ!クィディッチがつまらないなんて言う人を、僕は初めて見たよ」
「そうか、それはいい経験だな。世の中己の常識だけでは計り知れない人もいると理解できたじゃないか」
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