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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第11章 【刺激的な授業】


「これで決まりだ、きっとマルフォイの前で無様に失敗するところを見られて笑われるんだ。やってらんないよ!」
「そうとは限らないぜ、ハリー。あいつ自分は飛ぶのが上手いっていつも自慢してるけど、きっとハッタリだよ。だってあいつがマグルのヘリコプターをギリギリのところでかわした話し、続きを聞いた事があるか?」
「非常に残念だが、飛ぶのだけは本当に上手いんだよ、ドラコのヤツ」

 これまで伊達にドラコの背中にくっついてきたわけではない。ドラコは本当に箒が得意なのは知っているし、クリスに飛行術の才能がないのも、ドラコが一番よく知っている。
 掲示板のお知らせを見て、ドラコが得意げな顔で「やあ、クリス。掲示板は見たかい?」なんて話しかけて来る姿が目に浮かぶ。そしてうっかりクリスが箒にも乗れない事をバラし、それがハリーやロン、最悪の場合にはグレンジャーの耳に入ったら……そんな想像するだけで気が滅入ってきた。しかしだからといって、クリスに打つ手がないわけではない。

 翌日、変身術の教室に移動する途中の廊下で、まるで待ち伏せでもしていたかのように柱の影からドラコが現われ、例のセリフを言った。

「やあ、クリス。掲示板は見たかい?」
「わざわざ怒らせに来たのか?」

 予想通り得意げな顔で話しかけてくるドラコに、クリスはしかめっ面で対応した。

「違うさ。全くどうしてそう喧嘩腰なんだ。そうじゃなくて、君に『僕がいるから安心していい』って伝えようと思ったんだよ。なにせ君はは箒が大の苦――」
「ああ、そうだな。カラスに襲われる心配もないから、安心して飛べるだろうな!」

 予想通りの発言に、クリスは痛恨の一言を放った。例の『カラス襲撃事件』はドラコの中でも早く忘れ去りたい汚点だろう。ヘリコプターをかわしたと自慢しているくせに、カラスに襲われて無様にも墜落したなど笑い話もいいところだ。
 すまし顔が崩れ、顔を真っ赤にしたドラコに、クリスはさらに追い討ちをかけた。

「あの事も含め、今までの汚点をこの場で暴露されたくないなら余計な事は言うなよ。いいな!?」

 その脅しのおかげで、ドラコがやたらとクリスに話しかけてくることはなくなったが、流石に他の生徒が己の体験談やクィディッチの話しをするのまでは黙らせる事はできなかった。
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