第11章 【刺激的な授業】
ロンと同じく魔法史のレポートと格闘しているハリーが言った。「どうしてだ?」と不思議そうに尋ねるクリスに、ハリーは僅かに目線をそらし、しどろもどろと口を動かした。
「まあ、その……ネビルはちょっと君の事が苦手なんだよ。前にそんな様な事を言ってたんだ」
「つまり私はネビルに嫌われているという事か!?」
「嫌われてるって言うか……ちょっと怖い人だとは思ってる。ほら、コンパートメントでの一件以来」
それを聞いて、クリスは気が抜けたようにソファーに倒れこんだ。お気に入りの人物が自分のことを怖がっているというのは、誰だって少なからずショックを受ける。それじゃああのもじもじと指をいじる仕草も、クリスを見て恥ずかしそうに去っていく行動も、怯えと緊張からきていたものだったというのか。
「そんな……ただちょっとからかっただけなのに」
「多分その“ちょっと”がいけなかったんだと思うよ」
ロンの言葉に、クリスはガクッと肩を落とした。
それから2・3日の間、クリスは珍しくしょげていた。ネビルの誤解を解こうと話しかければ話しかけるほどネビルは怯えるし、クリスを避けるようになった。どうにか仲良くなる方法はないかと頭を捻ってはみるが、クリスを見ただけで逃げ出すネビル相手にはどうすることも出来なかった。
だがそのうち、クリスもネビルの事ばかり気にしていられなくなった。ある日談話室の掲示板を覘いてみると、そこには我が目を疑うようなお知らせが貼り付けられていた。
――お知らせ――
来週の金曜日に、スリザリンと合同で飛行訓練を行います。
飛行訓練?それもスリザリンと!? これは今までさんざん無視し続けたドラコの呪いではないかと疑った。しかもそう思ったのは、クリスだけではないようだ。
「こんなのってあり?よりによってスリザリンとだなんて!」
掲示板を見たハリーが叫んだ。顔にははっきりと落胆と怒りの混じった色が浮かんで見える。