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ハリー・ポッターと小さな召喚士

第11章 【刺激的な授業】


 ホグワーツでの生活は、家での生活とあまり変わりがなかった。授業のため朝は最低でも8時半までには起きなくてはいけないし、娯楽といってもテレビやラジオがあるわけでもない。せいぜい読書か散歩、もしくは生徒が持ち込んできたボードゲームやカード類くらいだ。むしろ好きな時にダイアゴン横丁にも行けない分、ホグワーツの方が少し窮屈かもしれない。

「……暇だな」

 談話室のソファーに足を投げ出し、図書館から借りてきた『女にふられる方法100選』という、またチャンドラーが見たら血圧を高くしそうな本を読みながら、クリスはぼそりと呟いた。

「暇ならチェスでもやらない?すぐ部屋から取ってくるよ」
「その前に、ロンは魔法史のレポートを終わらせたほうが良いんじゃないか?」

 ちっとも進まない魔法史のレポートを睨みながら「時には気分転換も必要なのに」と唸るロンを尻目に、クリスは借りてきた別の本を取り出し、ページをめくり始めた。が、それもすぐに閉じてしまった。どうもこのところ、集中力が途切れがちだ。

「何か面白いことは無いものか……ん、ネビルだ。ネビル!」

 暗い顔で太った婦人の穴を這い登ってきたネビルに、クリスは声をかけた。ネビルは魔法薬学とスネイプの両方と相性が最悪で、いつも下らない失敗をして火傷を負ったり、大なべを溶かしたりしてしまう。1時間前の授業でも、元気一発薬の調合に失敗し火傷をしてしまったので、医務室にいって手当てを受けていたのだ。

「火傷の具合はどうだ?」
「あ、えっと……うん。もう…へ、平気だよ」

 ホグワーツ特急の中で出会って以来、ネビルは密かなクリスのお気に入りだった。このもじもじと指を回す仕草と、見るからに気の弱そうなところが保護欲をくすぐられる。まるで小さいリスみたいだ。
 ネビルは「それじゃあ」と一言言い残すと、クリスを通り過ぎ急いで男子寮の方に向かっていった。あまりに急ぎすぎたために寮の入口でおでこをぶつけ、痛そうにさすりながら、また駆け足で螺旋階段を上っていった。そんなネビルをみて、クリスはクスクスと笑みをこぼす。

「相変わらず見ていて飽きないな、ネビルは」
「あ~……クリス、あんまりネビルにかまわない方がいいよ」
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