第3章 磨励自彊ー2日目ー
「え?!白鳥沢でもダメだったんですか?」
翔陽君が驚いたような声を出す。それに頷いてみせると固まってしまった。王者と呼ばれているウチでも全国優勝はしていないという事実に驚いているようだ。
「私が女子バレーでやらないのは足に爆弾抱えているから…今はもう大丈夫なんだけど。異名を暴露たくないのは未だに約束を果たせてないから」
「ウシワカちゃんが京香ちゃん支えたのは何かモヤっとするけどさ、京香ちゃんは立派な女神様だと思うよ?」
私が話し終わると口を開いたのは徹君。みんなの視線が集まるのも動じずに、私を見つめて微笑んだ。
「だってさ、現に俺たち強くなってるし。それは京香ちゃんのおかげでしょ。妹ちゃんとの約束、俺たちが叶えてあげる。俺たち青城が京香ちゃんを頂きの景色に連れて行くよ」
「何カッコつけてんだよ。んなの当たり前だろ」
「よーし!ウシワカでも何でもかかってこいや!」
「徹君、青城のみんな…ありがとう」
その言葉に思わず泣きそうになってくる。目に溜まった涙が零れないようにそっと拭えば微笑んだ。すると、ガシッと肩を掴まれてクルリと回転させられれば視界は反転し目の前には飛雄君と、烏野部員たち。奥の方で涙を流している夕君と龍之介君を力君が慰めているようだ。
「京香さんを頂きの景色に連れて行くのは俺たちっす!京香さんは烏野のコーチですから!」
「そうだな影山。必ず、連れて行きます」
「よし、俺も負けてらんないべ」
「俺も!もっとサーブ頑張ります!」
「うおおお!影山!練習するぞ!」
「飛雄君、みんなも…ありがとう」
烏野もやる気満々のようだ。みんなの笑顔が、言葉が凄く嬉しかった。また泣いてしまいそうだ、私は慌てて顔を背けた。
…リコ、必ず約束果たすからね。私1人の力じゃ無理だけど、今私の周りにはこんなに素敵な人たちが居てくれてる。それを気付かせてくれたのは貴女のおかげ。ありがとう。
「IH予選で俺にコテンパンにやられた飛雄ちゃんがそこまで言うなんて。今回も退いてもらうよ烏野」
「今回は負けません…!」
「お、落ち着いて!」
あぁ…また徹君と飛雄君がによる睨み合いが始まった。
ブレーキ役の一君と孝支君と大地君まで睨み合っている始末。両校に挟まれてる私は居た堪れなくなったのだった。