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【ハイキュー!!】 勝利の女神様

第3章 磨励自彊ー2日目ー


「"左"のスパイク、ですか?」

「うーん、俺あんまりないっすね」

「そっか。青城のみんなは当たってるから知ってると思うんだけど、若利は"左"なの。いつも慣れてるスパイクとは回転が違うから受ける面を考えなくてはならない」

いきなりの私からの問いに不思議そうな2人。理由を話せば表情が引き締まった。夕君は目が輝いてる。絶対上げられるようになってやる、そういう目。

「上げられるようにならないと若利は止められない。強打は無理だけど、受けてみない?」

「お願いしますっ!」

「俺も…やらせて下さい」

「よし、やってみよう。孝支君!ちょっとトス上げてもらっていい?」

「あ、はい」

闘志を帯びた目の2人に微笑んで、セッターを探せば旭君と話してた孝支君を見つけて手招きする。流石に高校男子の高さのネットじゃスパイクは打てない為、ネットなしの状態で孝支君にボールを出す。ふわりとしたトスに合わせて飛び上がれば、若利のことを意識しながら左手でスパイクを打った。

打たれたボールはあまり威力はないものの、夕君の正面に。
バシッと音を立てて夕君はレシーブしたのだが。

返ってくるはずのボールはそのまま後ろの方へ。

「あぁあ!くっそ!ちゃんと捉えたのに!」

「西谷が上げられないなんて…」

「若利の威力はこんなもんじゃないよ。まずはコツを掴もうか」

悔しそうに頭を抱える夕君。大地君と孝支君は目を見開いて驚いている。"左"のスパイクは上げるのが大変なのがよくわかったかな。

体の軸の違いや、ボールの回転の違いを説明して何度も左手でスパイクを打つ。何本打っただろう、段々と夕君はしっかりとレシーブ出来るようになっていた。流石の身体能力だ。大地君はまだ少し苦戦しているようだ。これは若利相手には夕君しか対応出来ないかもしれない。

「ちょっと休憩!疲れた…」

先に根をあげたのは当然私。久しぶりにこんなにスパイクを打ったからかフラフラだ。膝に手を当てて荒い呼吸を繰り返していると、頬に冷たいものが当てられて顔を上げた。

「お疲れ様です。生徒たちの為にありがとうございます」

「武田先生…いえ、私も烏野のコーチですから」

ジュースを買ってきてくれたらしい武田先生。有り難く受け取れば2人で微笑み合う。武田先生は優しいなとしみじみ感じていれば、周りからの不機嫌そうなオーラにビクッとした。
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