第3章 磨励自彊ー2日目ー
私は2人に今までの経緯を説明した。
近くのスポーツショップにテーピングがなくて此処まで来たこと、迷子を保護したこと、迎えがくるまで連絡も出来なかったこと。
「ごめんね。午前に引き続きまた心配かけちゃって…」
「京香さんが無事で何より。あ、俺澤村たちに連絡してくる」
「え!大地君たちも探してくれてるの?!あぁ…申し訳ない」
「仕方ないでしょ、みんな京香ちゃんが大切なんだから。で、とおる君。いい加減俺の京香ちゃんから離れろよ」
「む。別に京香ちゃんはお前のじゃないんだろ!さっき友達だって言ってたもん!」
「生意気でませてるクソガキ…!今は友達でも直に俺は彼氏になるの。だから京香ちゃんは俺のなの!」
「そんなのわからないだろ。その前に俺が京香ちゃんと結婚するもん!」
「は、結婚?まだ幼稚園くらいのガキが何言ってんの」
「ちょ、ちょっと徹君落ち着いて」
「「京香ちゃんは黙ってて!」」
一君が電話をしに行ってしまった直後から徹君ととおる君の言い合いが始まった。私が口を挟むと、2人同時に言ってきたので笑っちゃいそうになったけど。
子供同士のような口喧嘩。やっぱりこの2人はよく似てるなと思えば微笑ましくなってくる。
あ、一君が帰ってきた。青城に帰ったらみんなに謝らないと。
「クソ川!子供相手に何してんだよ!」
「痛っ!殴らないでよ岩ちゃん!」
「とおる、悪かったなこいつが」
「はじめ君はかっこいいな!京香ちゃん結婚するなら僕かはじめ君じゃなきゃダメだからね!」
「ぶは、そうだなとおる。京香さんはちゃんとした奴が守らねえとな」
「ちょっと岩ちゃんまで何言ってんの!」
「僕、早く大人になって京香ちゃん守る!」
「ふふ、ありがとうとおる君。期待して待ってるね」
うんっ!と大きく頷いたとおる君が可愛くて、はじめ君と顔を見合わせればクスクスと笑った。隣では徹君が騒いでいるけども。
きっと徹君がお父さんになったら楽しいだろうな。
一君なら頼もしいお父さんになりそうだ。
2人共素敵な家庭を作るだろうなと想像すれば自然と笑みが零れた。