第3章 磨励自彊ー2日目ー
ー及川sideー
休憩の声がかかる。やっとだ、やっと彼女のことを探しに行ける。
すぐにでも体育館を飛び出そうとすると腕を掴まれた。
…岩ちゃんだ。
「落ち着け。コーチに話してから行くぞ。それに烏野にも手伝ってもらった方がいい」
「そうだね、わかった」
あぁまた俺は突っ走ろうとした。息を吐いて落ち着いてから溝口君のところへ行き、京香ちゃんが帰ってこないこと、探しに行くことを告げた。
「及川、話は聞いた。俺たちも探す」
「澤村クン…でも大人数で探したらきっと京香ちゃんは俺たちの練習時間を自分のせいで無くしたって責めると思う。だからウチからは俺と岩ちゃん。そっちも少人数で探そう」
「あぁわかった、じゃあスガと俺が行こう。旭と縁下、戻ってくるまであの連中頼むな」
心配そうな烏野部員たち。今すぐにでも飛び出しそうな坊主クン、リベロクン、チビちゃんに飛雄。それを押さえているのは確か練習試合の時に出てた6番クン。
「見つけたらすぐに連絡しよう、買い出しだから恐らくスポーツショップ。澤村クンたちはここから一番近いとこ行って。俺たちは大型ショッピングモールに行ってみるから」
俺の言葉に頷いた2人。走り出したのを見れば、俺たちも行こうと岩ちゃんと一緒に走り出す。
遠くで聞こえる救急車のサイレンにビクッとする。
もしかして…何て思えば岩ちゃんに殴られた。
「バカなこと考えてんじゃねえ!とりあえずショッピングモールに急ぐぞ」
「うん…ごめん」
やはり岩ちゃんには俺の考えてることがわかるらしい。
嫌な考えを振り払うように頭を振ってからまた走り出す。
暫く走ると大型ショッピングモールが見えてきた。
スポーツショップの前までくれば、岩ちゃんと二手に分かれて店内を探す。店内を隅々まで見て回るが京香ちゃんの姿はない。岩ちゃんと合流するも、其方にも居なかったのか首を振る様子に焦りが募った。
ふと俺のスマホが震えた。急いでポケットから取り出して確認すれば、相手は澤村クン。
「澤村クン!京香ちゃん居た?!」
『いや、こっちには居なかった。そっちもか…』
「そっか…もう少し探そう。また連絡する」
ジッと見上げてくる岩ちゃんに首を振る。
京香ちゃん何処に居るの……