第3章 磨励自彊ー2日目ー
ー菅原sideー
「全く、すぐそうやって睨み合う。2人でやってるのは勝手にしてくれて良いけど、京香さん巻き込むなよー」
「クソ川また迷惑かけてんのかてめぇは!」
「うげっ、岩ちゃん。違うの!飛雄から京香ちゃん助けてただけ!」
「お、俺は京香さんが心配で…!」
俺が京香さんを助けようと声をかけると、近くにいた岩泉も此方へくる。本人たちは自分たちが睨み合ってるせいで彼女を困らせているとは気付いていないのか。俺たちの声に京香さんも顔を上げた。助かったって顔…ちょっと優越感だ。
俺が青城の3番が呼んでたって言うと、そいつの方に走って行った京香さん。本当は俺以外の奴に教えたりとかして欲しくないけど…まして青城だし、及川までとは言わないけど女性に慣れてそうだし。でも及川の側に居させるよりはマシだ。
「あー菅原クン何してくれてんのさ。わざわざマッキーのとこ行かせるなんて」
「お前の側に居させるよりはマシ。遊びで京香さんに手を出したら許さないからな及川」
「へぇ…菅原クンはそこまで本気なんだ?京香ちゃんのこと」
「当たり前だろ。俺は本気、誰にも彼女を渡す気はない」
「お、俺だって負けません!京香さんのこと本気っす」
俺が睨んでも動じてないような及川。一方岩泉は吊り上げていた眉が下がって何か考えているようだ。
そして俺に対抗するように声をあげたのは影山。
そうだろうと思ってたよ。お前はすぐに態度に出るから。
セッターの技術では到底敵わないかもしれないけど、これだけは譲れない。カッコ悪くても、卑怯でも、誰にも渡したくないんだ。
「ほらお前ら、そろそろ休憩終わるぞ?スガも影山もなに怖い顔してるんだ」
「いいタイミングで来たね澤村クン。君もライバルに宣言しといたら?」
「ん?ライバル?宣言…?」
「そ。菅原クンも飛雄も京香ちゃんを渡す気はないって」
どうやら大地が中々戻ってこない俺と影山を呼びに来たらしい。
及川の言う通りいいタイミングで。
及川の言葉に黙り込んだ大地。大地は優しいし周りのこと考えてるからどうしようかと悩んでるんだよな。いつもそうやって自分の気持ちに蓋をしてきたってこと、俺は知ってる。
でも、顔を上げた大地の表情はいつもと違っていたんだ。