第3章 磨励自彊ー2日目ー
「孝支君、大地君、翔陽君まで…ありがとう。龍之介君と夕君も。ほらみんなご飯食べちゃってよ、練習の時間なくなるよ」
私を挟んで睨み合ってるこの状態に耐え切れなくなってみんなの背中を押す。やはり県内のライバル校、そう仲良くは出来ないか。
「京香ちゃんそんな顔してたら折角の美人が台無しだよ?」
「徹君…お世辞どうもありがとう。ほらご飯食べたら練習だからね!」
「…お世辞じゃないんだけどな」
一君と共に姿を現した徹君。髪もしっかりとワックスがついているのか整っている。先程のみんなと同じように背中を軽く叩いて押してやれば食事を促す。一君が疲れているような顔をしているので背中をそっと撫でた。
「京香さん…?」
「一君疲れた顔してる。大変だったね、ご飯食べて元気出して!スパイク気持ち良くいっぱい打ってストレス発散しよう!」
「あざっす。花巻と松川が迷惑かけませんでした?」
「あー、烏野の子たちが助けてくれたから大丈夫。一君周りのこと気にし過ぎて胃に穴があいちゃうんじゃないかって心配になるよ。あーもう無理だって思ったら私に甘えて?」
「…うっす。あ、あいつらまた…!」
頷いた一君を見て微笑む。すると徹君たちの声が聞こえてきて、それに反応した一君は鬼の形相となりそれをとめに向かった。
試合の外じゃ、青城の土台は一君かな。ある意味外と中でお互いに土台となってるこの2人が青城を上手くまとめて強くしているのだろうと感じた。烏野でいう大地君と孝支君のような。でも彼らよりもっと強い絆と信頼で繋がっているようだ。確か阿吽って呼ばれてるんだっけ、それも納得出来る。
「京香さん、私たちもご飯食べよ」
「あ、うんそうだね。今日も大変そうだ」
潔子ちゃんと仁花ちゃんに呼ばれれば私たちも朝食を食べる。
今日は女の子たちだけで。
「おーい、清水、京香さん、谷地さんこっち来なよ」
「行かない。京香さんは渡さないから」
「き、潔子ちゃん…」
孝支君に呼んでもらったのだが、潔子ちゃんが拒否したのでこうなった。いやきっと龍之介君と夕君が凄い顔で居たからもあるだろうけど。
今日の仕事の配分について話し、後片付けは武田先生と潔子ちゃんに任せて私と仁花ちゃんは先に体育館へと向かった。