第3章 磨励自彊ー2日目ー
「洗濯終わりましたー!」
「仁花ちゃんありがとう」
「朝食の支度も出来たので呼びに行きましょうか。清水さんは烏野を、京香さんは青城をお願い出来ますか?」
「了解です。潔子ちゃんいこ!」
洗濯物干しを頼んでた仁花ちゃんが戻ってくれば、武田先生の言葉に頷いて潔子ちゃんと部員を起こしに行く。
青城は部員数が多いから何部屋かに別れてるので、手前の部屋からノックして声を掛ける。返事が聞こえれば次の部屋。最後になったのは3年レギュラー陣の部屋。
「おはよう。朝食の支度出来たから起きてきて」
「京香ちゃん!及川さんに会いたくなっ…ふぎゃ!」
「クソ川てめぇ先に片付けろ!」
ドアをノックして声を掛けると勢いよく開かれて徹君が飛び出してきたから身体をビクッとさせる。しかし枕が飛んできて徹君の後頭部にヒットすれば、私を抱き締める前に徹君はしゃがみ込んだ。
「あ、ありがとう一君」
「岩ちゃん痛い!」
「うっせえ!もう一発食らいたいのかてめえは!」
一君の言葉に徹君が大人しくなった。さすが扱いになれてる。
その様子にクスクスと笑っていると、いつの間にか支度を終えたらしい貴大君と一静くんが隣に居た。
「京香さん俺ら支度終わったし、こいつら置いて行こうぜ」
「いいの?置いて行って…」
「いいのいいの、及川は岩泉に任せれば」
2人に連れて行かれるように歩き出せばいつの間にか手を繋がれる。180㎝を超えている2人に囲まれていると自分が子供のように思えてくる。チラッと見上げてみれば2人共上機嫌なようで、そのまま食堂に戻った。
「京香さん今日はスパイクとか見てくれるよね?」
「ん?私で良いなら…って、2人共ご飯貰ってきなよ…!」
ち、近い!何の連携プレーなのか、貴大君の手がスルリと伸びてくれば私の腰を引き寄せる。一静君は私の髪を手に取ってニヤリとしている。慌てて引き離そうとするものの、逃れられない。
変にドキドキしてくる。無駄な色気を出すな!
「はいそこまで。やっぱり大地、京香さんを青城マネに出すべきじゃなかったべ!」
「そうだな…及川にまんまと嵌められたよ」
「京香さん大丈夫ですか!」
2人から解放してくれたのは黒いジャージの頼れる彼ら。
龍之介君と夕君は凄い顔で威嚇している。