第2章 為虎添翼ー1日目ー
ー影山sideー
バレーについて相談してみる。
実際に及川さんはすげえと思うし、だからこそ超えたいと思ってる。
京香さんも真剣に話してくれる。
それが嬉しい気もするのだが、ただ会いたくて呼び出したという事実を考えると胸が痛くなった。
「徹君を超えるのは飛雄君なんでしょ?私、楽しみにしてるからね」
「それ、聞いてたんすか…」
「たまたまね!でもあの時思ったんだ、向上心も闘争心も申し分ない子だなって。それで飛雄君のこと気になったんだよ」
「気になっ……!」
「だから烏野のバレーが見たくなった。どんなバレーするんだろうって…あれ、飛雄君大丈夫?」
「だ、大丈夫っす!…他の奴らに、気になるとか…言わないで下さい」
俺のことが気になった。その言葉にカァっと顔が赤くなる。
好きな女に気になると言われて嬉しくねえわけねえ。
顔が赤いまま、京香さんの手を強く握ればジッと見つめる。他の奴に取られたくねえ…そう思えば無意識にその手をグッと引き寄せて抱き締めていた。
「ちょっ、飛雄く…」
驚いている京香さんの口を塞ぐように、我慢出来ずに唇を重ねた。
ゆっくりと離せば、また強く抱き締める。ダメだ、制御が効かねえ。
「いきなり…すいません、でも俺京香さんが」
「おい影山居るかー?消灯だから部屋戻れよー」
好きだって言おうとしたその瞬間、邪魔が入った。
この声は…澤村さんか。
抱き締めていた腕を離せば、京香さんは顔を赤くさせていた。
「俺のことも見ててください。また、ちゃんと続き言うんで」
一方的に言って、澤村さんの方に行く。
「そんな恐い顔するなよ。先に部屋行ってて、施錠してから俺も帰るから」
「っす…」
「影山あのさ、付き合う前の女性にキスするのは感心しないな。それと…京香さんはお前にも渡さないよ」
部屋に戻ろうと歩き始めたところで呼び止められて振り返る。澤村さんに見られてたらしい、俺自身どうしようもなかったんだよ!と心の中で叫ぶが、続いた言葉に目を見開いた。
それって澤村さんも……
「あ!影山ここに居たのかよ!ほら戻るぞ!」
2人にしておけないと思って追いかけようとするも、俺を探しにきたらしい日向と田中さんに捕まればそれも叶わず部屋に連れ戻された。