第2章 為虎添翼ー1日目ー
ー影山sideー
食堂で始まった腕相撲が終わり、3年生から風呂に行ったから縁下さんを手伝って布団を敷く。
そういえば縁下さんさっき京香さんと何話してたんだろ…
「か、影山?そんな目で見るなよ恐ぇから…」
「あ、す、すんません」
「はは、どうせあれだろ?さっき俺と京香さんが話してたの気になったんだろ」
「なっ…」
「あははっ…本当影山わかりやすいよな。俺はお前のライバルじゃないから安心しろ」
「ライバル…っすか」
「だって影山、京香さんのこと好きなんだろ?俺は伝える勇気なんてないからさ」
俺が…京香さんを、好き…?好き、なのか…?
京香さんのことを考えると顔に熱が集まってくるのがわかる。しかし、何だかまたモヤモヤとしてきて眉間に皺が寄る。
誰かを好きになるなんてことなかったから、そう言われてもよくわかんねえ。今までバレーだけ考えてきたんだ。
「影山、もしかして自分の気持ちがわからないのか?」
「…よく、わかんねえっす」
「はぁ…わかったよ序でに教えてやるからこっち来い」
布団を敷き終わり、縁下さんに手招きされて部屋の隅に座る。
日向は田中さんたちと話してるし、月島と山口は各々過ごしているのが見えた。あいつらに聞かれる心配はねえ。
「まずな影山、京香さんのこと考えてみ?どうなる?」
「…顔に熱が集まるような感じがして、胸が苦しくなるような気がします」
「だろうな。じゃあ京香さんが菅原さんや俺とかと話してるの見てるとどう思う?」
「いい気分じゃねぇっす…なんかモヤモヤしてきて、よくわかんなくなります」
「きっとそれはな、嫉妬だろ」
「…しっ、と…?」
「あー、えーと、ヤキモチだヤキモチ!」
縁下さんの言う通り、考えてみるもののやはり初めての感覚にどうしてもそうかと納得することが出来ねえ。何でヤキモチなんて妬く必要があるんだ。
「何で俺がヤキモチなんて妬くんだよって顔してるけどさ、その答えは単純だろ。京香さんが好きだからじゃないのか?京香さんと一緒に居たいとか、笑顔が見たいとか…守りたいとかそう思うだろ?」
一緒に居たい、笑顔が見たい、守りたい…
その言葉はストレートにストンと胸に入ってきた。
俺が頷けば縁下さんは満足そうに笑ってた。