第2章 為虎添翼ー1日目ー
「本当にわからないの…?でも、私の口から言うべきことじゃないから言わないでおく」
「えぇっそんな潔子ちゃん気になるじゃん!」
「私も、皆さん見ていて何となくわかりますけど…決して悪いことではないので心配することでも…」
「なら、いいけど…ん?」
何やら知ってるような2人の態度に軽く拗ねながらお菓子を食べる。心配することじゃないなら別にいっか、と思えば話題を変えようとしたとこで私のスマホが鳴る。
短い通知音だったためLIN○だろうと手を伸ばしてスマホを確認する。
「そういえば京香さん、白鳥沢の牛島とは仲良いの?」
「若利は私の幼馴染だよ。だからかなー、表情読み取ったりするの得意でね。飛雄君もわかるようになってきたよ」
「影山君を?!凄い…私まだあんまりよくわからないのに…」
「慣れだよ慣れ。仁花ちゃんはまずおっきい男に慣れるとこからかな」
「ヒィイ!東京での合宿でもそうでしたけど、巨人に囲まれて私食べられちゃうんじゃないかと…」
「東峰もそうだけど、強面が多いんだよね」
はい、と潔子ちゃんから写真を渡された。
どうやら夏休み中にやった東京での合宿の写真のようだ。
確かにみんな身長が高い。恐らく180㎝超えてる連中が殆どかもしれない。私よりも身長が低い仁花ちゃんからすれば正に巨人たち。
「ね、こまって確か、昔烏野との対決でごみ捨て場の決戦だとか言われてたとこ?」
「うんそう。武田先生が頼み込んでくれて、交流が復活したの」
「へぇそうなんだ!全国で是非戦って欲しいね」
「今年こそは全国行って実現させる。音駒もうちもそのつもり」
これが主将の黒尾で…写真を指差しながら教えてくれる潔子ちゃん。目が輝いてとっても楽しそう。うん、この子たちの為にも私は出来る限りのことをしようと改めて誓った。
ふともう一度スマホが鳴る。先程と同じ着信音。
誰からだろうと確認すれば、差出人は先程と同じ人物。
『3階一番奥のベランダで待ってます。』
用件はそれだけしか書かれていなかった。
「京香さん早速呼び出し?」
「もう!楽しそうにしないの。バレーについて教えてってことだから」
「あまり遅くならないようにね?」
「わかってますー。ちょっと行ってくるね」
楽しそうな潔子ちゃんと何故か照れてる仁花ちゃんに見送られ、ベランダに向かった。