第2章 為虎添翼ー1日目ー
ー及川sideー
その先には京香ちゃんと烏野のチビちゃんや飛雄たち。
どうやらサーブを教えているようだ。
ピンサーくんがジャンプフローターを打つと京香ちゃんの目付きが変わった。あれが"勝利の女神様"の目…
何て言ってるのかまではここまで聞こえなかったものの、京香ちゃんが打ったジャンプフローターは凄く綺麗で、リベロくんの前に落ちた。
「流石京香ちゃん…」
飛雄にも教えてるらしくてジャンプサーブも打つ。
俺より威力はないものの、リベロくんの反応を見る限り強烈なものだとわかる。
こりゃ烏野は伸びそうだ。
うかうかしてたら喉元喰い千切られるかもしれない。
でもこの合宿で京香ちゃんはうちのマネージャー。
うちでも働いてもらわないとね。
「及川、ただのコーチってわけじゃねえだろアレ」
「んー知ってるけど教えてあげない。口止めされてるし、京香ちゃん本人から聞きなよ」
岩ちゃんまでも彼女に興味津々だ。
彼女は人を惹きつける力もあるのだと思う。
練習再開するよーって声をかけようとした時、京香ちゃんが岩ちゃんに食事の支度をしてくると言った。そう、主将の俺じゃなく岩ちゃんに!京香ちゃんまで俺の扱い酷くなってる…及川さんいじけてやる。
「練習すんだろうがクソ川!」
「岩ちゃん毎回悪口略さないで!」
「あぁ?うっせぇなクソ及川!」
「言い直さなくていいから!」
岩ちゃんに殴られながらも練習再開。
正午くらいになって京香ちゃんが体育館に戻ってきた。
昼食の準備が出来たらしい。練習を切り上げればみんなと食堂へ向かう。
たくさんのおにぎりと豚汁。おかずも数品あった。
マネちゃんたちだけでここまで用意出来たのは凄いと思う。
マッキーやまっつんたちとテーブルを囲めばおにぎりを食べる。
うん美味しい。すると岩ちゃんが目を輝かせておかずを持ってきた。その手には揚げ出し豆腐。あ、岩ちゃんの好物か…
「午後はずっとミニゲームだから食べ過ぎないようにね?一君揚げ出し豆腐好きなの?」
「京香ちゃんありがと。これ岩ちゃんの好物なんだよね」
「美味いっす」
「そうなの?良かったー」
お茶を配ってる京香ちゃん。
その嬉しそうに笑った顔に思わずドキッとしてしまったんだ。