第2章 為虎添翼ー1日目ー
ー及川sideー
代表決定戦まであと1カ月程。俺たち3年にとっては最後の…
今度こそはウシワカちゃんに勝たないと。
あ、そろそろ烏野来るかな?
勿論烏野にだって負けない。勝つのは俺たちだ。
迎えに行ってくるねと岩ちゃんに言えば返事を待たずに体育館を飛び出す。
烏野はマネちゃん可愛いんだよねー。
うちは俺目当てが多いからマネージャー居ないし。
あぁなんて俺って罪な男☆
あれ?最後にバスから降りてきた美人な子見たことあるような…
烏野の子じゃなさそうだけど…
「あれっ?新しいマネージャー…じゃないみたいだね?」
「新しいコーチだよ、烏野の」
「コーチ?大学生?へぇ…お姉さん綺麗だね、今度俺とデート…ふぎゃ!」
「クソ川!てめぇ他校に迷惑かけてんじゃねぇよ!」
その美人さんの前まで行って、得意の笑顔で話してみる。大抵の女の子はみんなこれで落ちる。
澤村クンもしかして美人さんのこと…表情に出てるよ?
俺に近寄らせたくないって顔。
澤村クンだけじゃないね…ふぅん、烏野みんなに愛されてるんだ。
あ、なんか楽しそう。ちょっかいかけて…っ痛!え、岩ちゃん?!
「痛いよ岩ちゃん!」
「うっせぇ!勝手に迎えに行くとか言い出したのはてめぇだろ及川!」
「…及川…?君があの及川君?」
「あれ、俺のファン?いやー、こんなに美人な人なら及川さんデートした」
「及川さん、この人烏野のなんで…」
相変わらず岩ちゃんは容赦なくボールを投げ付けてくる。見事に俺の後頭部に毎回ヒットするからたまったもんじゃない。
しかし、どうやら美人さんは俺のこと知ってるらしい。
やっぱりイケメンだから仕方ないよね!あーもう痛みなんて忘れちゃうね!
なんて思ってたら次は可愛いクソ後輩が邪魔をしてくる。
飛雄お前もか…これは益々俺のモノにしたくなってきた。
あ!思い出した…この子ウシワカちゃんとよく一緒にいた…
てことはこの子が…
「"勝利の女神様"って…君のことでしょ…」
俺が飛雄に止められただけで引き下がると思ってんの?
ジッと飛雄を睨んでから彼女を見ると固まってる。
あ、この反応は本物っぽい。
思わぬ収穫、後で青城に来てもらおうかなー。
ウシワカちゃんに勝てる希望が見えた気がした。
今度こそ、全国に行くのは俺たちだ…
岩ちゃんの方へ駆け寄れば、遅え!って殴られた。理不尽!