第2章 為虎添翼ー1日目ー
「じゃあ先ずは京香ちゃんに自己紹介しないとね。お前ら集まってー」
監督たちから練習メニューを両主将が聞いて、及川君の後を歩きながら青城の方へと行く。
「はーい注目。合宿中ウチのマネージャーとして来てもらっ」
「あぁ!真澄さん!うっそもう会えた!やっぱり運命なんじゃねえの」
「ひっ…は、花巻…君」
「俺も居るけどー」
「松川君、も…朝はありがとう」
「ちょっとマッキー!俺が話してるでしょ!まっつんも!」
及川君の言葉を遮って私の手を握ったのは花巻君。
無視されて及川君いじけてるんだけど、放置で良いの?!
「あー、こいつは無視で大丈夫です。その、名前を…」
「う、うん。真澄京香です。合宿中お世話になります。気軽に名前で呼んで下さい」
「コレが主将の及川徹。俺が副主将の岩泉一。んで…」
「コレって何!岩ちゃん酷い!」
コレ扱いされてギャンギャン喚きだした及川君。
でもみんな無視なんだけど…これが通常なんだね…
部員が多くて名前が覚えられないので、一応レギュラー陣を中心にってことになった。
午前中は各校でサーブ練習やレシーブ練習。
その間に私たちマネージャーの3人はドリンクとタオルを用意したり、午後のミニゲームの支度をしたり。
「はいみんなちゃんとドリンク持っていってね。濃さとかわかんなかったから私の経験で作ったから、後で感想聞かせてね」
「あちぃ…京香さん俺死んじゃいそう」
「こんなんじゃ死にません!ほら休む時はちゃんと休む。花巻君も松川君もお疲れ様」
「どーも。ん?俺たちのこと名前で呼ぶって約束は?」
「ハッ!そうじゃんナイス松川!花巻君じゃないだろー?」
「わかった、わかったから迫ってこない!貴大君と一静君!」
「あー!マッキーとまっつんだけズルい!俺も徹って呼んでよ京香ちゃん!」
名前で呼ぶって約束を覚えていた一静君。思い出した貴大君と共にジリジリと壁際に追い込んでくる。
2人共ニヤニヤと楽しそうな顔して。
壁際まで追い詰められれば、2人に両サイドに手をつかれる。
ダブルの壁ドンとでも言うべきなのか?
それを見つけた及川君まで参加してきて私に詰め寄る。
「と、徹君もちゃんと呼ぶから…いい加減退いて?」
「えー、どうしよっか…このまま俺たちとキス、しちゃう?」