第2章 為虎添翼ー1日目ー
「京香さん大丈夫?まさか及川に何かされた?」
「すいません、俺守るとか言ったのに…」
「へ?あ、大丈夫!ただ、びっくりしただけ…バレちゃったの。私の異名…何も言ってないのに」
「おーいスガ!影山!京香さん行くぞー!」
「はーい!よし、置いてかれちゃう前に行こ。大丈夫及川くんには気を付ける。ありがとう」
心配そうな2人を安心させるように理由を言い、大地君から呼ばれれば返事をして2人の腕を掴めば部員たちの方へ歩く。
さすがに青城の主将をやってるだけある、観察力に長けてるのだろう。確信を持って言った時の及川君の顔は背筋が凍るような、その前までの彼の雰囲気とはまるで違った。
もしかしたらそれが彼の本性…?
これは本当に気を付けないと、と思えば合宿所に着いた。
「烏野の部屋は3階だ。2階は俺たちが使ってる。食堂は1階。荷物置いたら第二体育館で練習だ。おらクソ川行くぞ」
「えー!俺マネちゃんたちに部屋案内す…わかった行くよ!行くから睨まないで!」
及川君の言葉に、私の前には孝支君と飛雄君が。
潔子ちゃんと仁花ちゃんの前には夕君と龍之介君が立ちはだかる。
何とも頼もしい子たちなのだろう。
どんな表情をしているのかわからないが、これなら潔子ちゃんたちも安心だ。
「じゃあまた後でね!京香ちゃん」
「っ!…う、うん」
私の近くを通る時、ウインクをしながらちゃん付けで呼んできた及川君。
私名前名乗ってないんだけど…
て、その言葉に振り返ったみんなが及川君を睨んでて怖い。
もう変な爆弾投下していかないでよー!
「ほら荷物置いて練習行くよ!まだまだ強くならないと、決勝どこらかこの青城にも勝てない」
「「うっす」」
慌てて私が言えば、いつもの表情に戻ってくれた。
はぁあ…良かった…
私が潔子ちゃんたちの方へと逃げるように行けば、潔子ちゃんに笑われた。
「本当大変ね、京香さん」
「もう!笑い事じゃないよー」
「ふふ、そういえば合宿のご飯マネで作るんですけど、京香さんにもお手伝いお願いしていい?」
「うんわかった、一人暮らししてるから料理は任せて」
「武田先生もやってくれるから…」
潔子ちゃんと仁花ちゃんと話しながら階段を上り、部員の大部屋から少し離れた小部屋のドアを開ける。