第2章 為虎添翼ー1日目ー
『今週のシルバーウィークなんですが、青城から合宿のお誘いがありまして…時間があれば指導してもらえないかな?』
「シルバーウィークに青城と…青城って及川君が居るっていう?」
『そうです。県ベスト4の強豪校ですね』
「へぇ…面白そうですね。多分大学の部活は何とかなるのでフルで参加させて下さい!私も一緒に泊まり込みで大丈夫ですか?」
『本当ですか!是非お願いします!青城にはマネージャーが居ないそうなので、京香さんにもマネージャーの仕事を手伝って頂くことになるとは思いますが…』
「それは任せて下さい!私もバレー部マネージャーですから」
『ありがとうございます。助かります。では当日…』
青城って言えば毎回県の決勝で白鳥沢と当たる相手。
若利がセッターの及川君のこと話してるのは何度か聞いてるからどんな子なのか興味があった。
武田先生から当日の詳細を聞けば電話をきる。
合宿所は青城の方らしく、場所がわからない私は烏野にお邪魔する形で向かうことになった。
合宿とか高校生ぶり…!
「キャープテーン!あのね…!」
ジャージにスマホを仕舞えば、ダダダッと走ってキャプテンの元へ。反対されても私は行く!と言えば呆れたように笑われた。
「お前がバレー馬鹿なのは知ってるよ。行かせてやるからそれまでに集中して貢献してくれ、"女神様"」
「ありがとうございます!頑張ります!」
まるで私のことを妹のようだと笑いながら、優しく頭を撫でてくれたキャプテンから許可をもらった。
よし、ちゃんと私の仕事をしないと。
一発気合いを入れれば、部員たちの輪に入りプレーについて話し合いをする。
どうやら無意識のうちに私の中で烏野高校バレー部という存在は大きくなっているようで。
彼らがバレーを楽しんでやっている姿が脳裏に浮かべば自然と笑みがこぼれる。
つくづく不思議な力を持ってるな、と感じればまた私もバレーがしたいなという気持ちになってくる。
苦笑しながら軽く首を振れば、すぐそこに迫ってきている合宿の準備をしないとと気持ちを切り替えた。