第2章 為虎添翼ー1日目ー
そんなことがあって、だいぶ烏野の子たちとは仲良くなれたのだが、毎回駅まで送ると孝支君が私の後を追って走ってくる。
それが申し訳なくて断ってもいるのだが、
「京香さんと2人になりたいし、色んなこと知りたいし知って欲しいから」
なんてストレートに言われてしまえば何も言えなくなってしまう。
高校生の癖に…!
なんて思うけど、好意を寄せてくれることは迷惑じゃないから好きにさせておこう。
きっとすぐに私に飽きて可愛い同級生を好きになる。
高校生の恋愛なんてそんなものでしょ。
あ、またボーッとしてた。
そろそろ休憩だからドリンク用意しないと…
あーもう部員の数に対してマネージャー少な過ぎる!
集中しなきゃ、と軽く頭を振ってから籠を持てば水道へ。
ピロン
大学のジャージのポケットに入れてあったスマホが鳴る。
この音はLIN○だ。
そういえば烏野の子たちと交換したんだったと思い出す。
籠を置いてからスマホを取り出して確認すれば、送信者は翔陽君。
何やら動画が添付されているが、今は確認する時間がない。
部活お疲れ様。また後で動画みるね。
と文章と謝るようなスタンプを送れば、ドリンク作りを始める。
手伝いにきてくれた後輩のマネージャーにもお願いして、何とか休憩に間に合った。
タオルとドリンクを部員に渡し終われば、少し離れたところに座ってスマホを取り出す。
先ほどのアプリを立ち上げれば動画を再生する。
動画の内容は翔陽君と飛雄君の速攻。
何度か失敗した後に綺麗に決まったもので、どうすれば成功率上がります?とのコメント付き。
何度も失敗している部分を見返して、2人の動きを見る。
画面が小さいからか、細かいところまでは見えないのだけれど飛雄君の指先に力が入り過ぎているかもしれないという結論に至る。
これは本人に言ってあげるべきだよね、と思えば宛先を飛雄君に変更して文章を打つ。
送信したところで、今度は着信が入る。
誰だろ?と画面を見れば武田先生。
キャプテンにちょっと電話に出てくると言えば、体育館を出て人気の少ないところへ移動する。
「はい、武田先生?どうかなさいました?」
『あ、京香さんですか?お忙しい時にごめんね。急で申し訳ないのですが、可能ならばお願いがありまして…』
「お願いですか?何でしょう?」