第1章 合縁奇縁
若利と話しているのは男の子2人。
一人はオレンジ色の髪をした身長が低めの子。
もう一人は目つきの鋭い黒髪の子。
私は黒髪の子の顔に見覚えがあるような気がして、うーんと記憶をたどってみる。
「どっかで会った・・・?試合で当たったのかなぁ・・・」
体育館の扉に凭れながらあらゆる場面を思い出してみる。
しかし、どうしても思い出されない。そうならば私の勘違いか!なんて思い出すのを放棄した。
いい加減若利が戻ってくれないと練習試合も始まらないしなぁと思えば話してる途中だけど声をかけようと近づいた。
「若と・・・ッ!」
「――青城が"ヤセた土地"なら、おれ達はコンクリートか何かですかね??」
若利と呼ぶことが出来なかった。
オレンジ髪の少年の気迫というか、目力のようなものに私は動けなくなった。
どうやら私同様、若利も彼の気迫に動けなくなったようだ。
この少年、面白い――
若利に対してここまで臆することなく気迫で勝るなんて。
なぜだかわからないが、私はこの子のことを知りたくなった。
「何か気に障ったのなら謝るが、青葉城西に負け県内の決勝にも残れない者が何を言ってもどうとも思えん。」
聞こえてきた若利の言葉。そうか、そこまで強くもないのかなんて少し期待はずれに感じれば、私の直感もダメになってきたかなぁとため息をつく。
そこへ背後からバレーボールが飛んできた。
体育館から私の大学の部員の声がしたため、手を伸ばそうとするがバウンドして届かない。
若利が軽くジャンプをしてボールを取ろうとしたその時―
ビュウッと強い風が吹いたような音がして私の肩ほどまでの茶色の髪を揺らした。そして前を見れば、若利の後ろにいたオレンジ髪の少年が若利の目の前に居てボールをキャッチした。
「っ!――へぇ・・・」
やっぱり私の目に狂いはなかった。凄い跳躍力、瞬発力どちらも申し分ない。驚きのあまり目を見開いたあと、思わず私の口から感嘆の声が漏れた。