第1章 合縁奇縁
その誘いは私にとって嬉しいもので、私の力でよければこの烏野バレー部を見守っていきたいという気持ちは十分にあった。
興味があるのは確か。
烏野が強くなれば白鳥沢のライバルに出来るかもしれないと思ったのも事実。
でもこのまま烏野に関わっていたら私は白鳥沢を裏切りかねない。
私が返事に渋っていると、武田先生が柔らかい笑みを浮かべて付け足してくれた。
「真澄さんが悩むのもわかります。母校である白鳥沢を裏切れませんものね。だから時間が出来たときだけで構いません。本業は大学生、次に白鳥沢を優先してください。烏野には貴女の力が必要なんです。お願いします」
「俺からも・・・頼む」
「えっ、ちょっと頭上げてください!」
いきなり武田先生が頭を下げたことに驚いていると、烏養コーチまで一緒に頭を下げた。
いやいや年上に頭下げさせるとかダメでしょ!
てか大学生相手に大人が頭下げないでくださいよ!
武田先生に至っては土下座をしそうな勢いである。
何を言っても頭を上げようとしないので、私は観念して深い息を吐いた。
「わかりました。私でよければ、力を貸します。でも、白鳥沢の情報は渡しませんし、大学の関係上代表決定戦までっていう期間限定でもいいですか?」
「ありがとうございます!わかりましたそれでお願いします」
私が条件付で了承すると、嬉しそうに笑って握手のように手を包まれれば手を揺らされる。
武田先生って生徒思いのいい先生だなって感じた。
「では、我々も中に戻りましょうか」
気が済んだのか、手を離した武田先生は笑顔のまま体育館の中に入っていったので私と烏養コーチも中に戻っていった。
部員たちは片付けの真っ最中で、まだ元気があるのか日向君は飛び回っていた。
私はマネージャー達の方へ行けば片づけを手伝った。
そのときに仲良くなった、眼鏡のセクシー女子潔子ちゃんと金髪のキュート女子仁花ちゃん。
烏野はこんな可愛いマネが2人も居るとか贅沢だわ!
田中君と西谷君が潔子ちゃんのこと騒ぐのが理解できた気がする・・・
「真澄さん!紹介するので此方へ・・・」
片づけが終わると武田先生に呼ばれたので隣に立つ。
集まってる部員達からの視線が痛い・・・
あ、月島君と菅原君は感づいてるな。
菅原君と目が合えば嬉しそうに笑ってくれた。