第1章 合縁奇縁
Bチームの方へ戻っていくと、先ほどのような戸惑いの表情ではなくなっていた。
みんな勝ちたいって気持ちはあるみたいだね。
うん、いいじゃん烏野。
よーし、まとめてアドバイスしてあげるかな!
「残り3分か・・・よしみんなちょっときてくれる?時間ないから簡単にだけどちょっと教えるね?」
休憩時間の残りをチラッと見ればBチームのみんなに手招きをして円になる。
「まず月島君ね、ブロックなんだけど君冷静に物事を見ることが出来るよね?それをもっと使えば相手のセッターのクセ、スパイカーの打つタイミングを読めると思うの」
「凄い!あたってるねツッキー!」
「山口うるさい。」
「ごめんツッキー!」
「・・・相手のパターンを見つけるってこと、デスカ」
「うんそうそう、そしたらドシャットのタイミングわかりやすいでしょ?スパイク打つときに少しタメがある、とか日向君みたいに早いならばワンチ狙えるかもしれない」
話し始めた私の言葉に山口君がなぜか嬉しそうにする。すかさず本人に睨まれていたのだが、これが通常なのか気にしてない様子だった。
しかし私の言葉に驚いてるのは月島君本人よりも2、3年の4人で。
私の分析が当たったってことだよね。
可愛い反応だなあ、なんて思いながらも微笑めば今度は顔を赤くさせて俯いてしまった。
じ、純情男子!?
悪いことしちゃったかな…?
「菅原君?あの・・大丈夫?」
「へっ、あ、大丈夫です!あの、俺には・・・」
「なら良いけど・・・菅原君のトスはみんな安心してスパイク打ててるように見えた。きっと部員からの信頼があるんだね。ただ攻撃のパターンがね・・・」
ブンブンと頭を振った菅原君。
私の言葉を彼も真剣に聞いてくれている。
3年だから試合に出たいよね・・・今度の春高が最後、だもんね・・・
休憩時間が終わるギリギリまで私はBチームのみんなと話していた。2年の3人には、スパイクの手の振り方、踏み込み方、そして田中君や東峰君のような強打のスパイクのレシーブの仕方。
次第に私だけの意見ではなくて、みんなからの質問や話合いとなり、休憩時間は終わった。
「もう1セットやるぞー」
「真澄さん!」
烏養コーチの一言でコートの中に戻っていく部員達。
私は邪魔になると思って武田先生が居るコートサイドへ行こうとすると、菅原君に呼び止められた。