第6章 緊褌一番ー5日目ー
合同合宿最後の食事も、相変わらずワイワイと騒がしいものであったが大きな事件もなく無事に終わってホッとした。
私たちマネージャー3人は食器の片付けと食堂の掃除に追われていて。風呂場と寝泊まりしたフロアの掃除は部員たちに頼んだのだが、しっかりやってくれているのだろうか。
「はい、潔子ちゃんこれで最後ね」
「うん、こっちは大丈夫だから仁花ちゃんの方手伝ってもらってもいい?」
「了解ー」
棚の中も綺麗にして、使った食器を綺麗に並べている潔子ちゃんに声をかけてから床掃除をしている仁花ちゃんの方へ行く。
「仁花ちゃんどう?あと残ってることある?」
「あ、京香さん。えっと…向こうの方がまだです!」
「ん、じゃあ向こうから掃除してくね」
「はい!」
烏野が使っていた方がまだだと言われれば、頷いてから掃除用具を取りに行き、隅の方から掃除を開始した。
合宿初日には腕相撲大会があったなーとか、全国に行くのは俺たちだって言い合ってたなーとか。
掃除をしていると、この5日間が蘇ってきて。
次にこの両校が対峙する時は代表決定戦で、どちらかが勝ってどちらかが負ける。両校の3年同士で笑いあう姿を見ることは出来ないのかと思うと寂しくなってくる。
いっそのこと、日本代表にみんな選ばれて同じチームで戦うことが出来れば良いのに、なんて無茶なことを考え出す始末。
「京香さん?どうしました?」
「あっ、ごめんボーッとしてたね。次に烏野と青城が対峙するときは敵同士なんだなって思ったら寂しくなっちゃって」
「そう…ですよね。あんなに仲良くなれたのに…」
心配そうな顔をした仁花ちゃんが駆け寄ってきてくれた。私としたことが…理由を話せば仁花ちゃんまでしょんぼりしてしまった。
「それに、清水先輩も京香さんも…春高が最後で…」
「私は代表決定戦までだから…潔子ちゃんよりちょっと早いけど…でも応援とか行くし。て、仁花ちゃん泣かないで!」
「うう…京香さん居なくなっちゃうの嫌です」
仁花ちゃんのおっきな目にいっぱいの涙が溜まっているのがわかって慌てて抱き締める。こんな可愛いこと言われたらずっと烏野のコーチやるよ!なんて言ってしまいそうな。
しゃくり上げてる仁花ちゃんの背中を撫でてあげながらも、なんて声をかけてあげればいいのかわからなかった。