第6章 緊褌一番ー5日目ー
「はい、お疲れ様!」
「サンキュー京香さん」
「ん、ありがと」
「京香ちゃん京香ちゃん!さっきの俺の活躍見てくれた?」
「あー…えっと…」
ゲームを終えたレギュラー陣にドリンクとタオルを渡す。笑顔で受け取ってくれるものの、やはり大変なのか息は乱れ汗が流れている。
徹君がニコニコといつもの笑みを浮かべているのだが、先ほどは用意をしてから忠君のテーピングをしていたので徹君のプレーを見ていない。
見てない、なんてストレートに言えなくて言葉に詰まる。かといって嘘もつけないし、どうしようと頭をフル回転させる。
「ごめん徹君、ドリンク用意したりとかテーピングしてたりとかして…」
「まさか見てなかったの?!」
「ぶはっ!及川ざまぁ」
「ちょっとマッキーもまっつんも噴き出さないで!」
言葉を濁しながらも見てないと頷けば、貴大君が噴き出して笑っている。一静君も肩を震わせて笑っている。
そんなあ、と落ち込んでしまった徹君。そこまで落ち込むことかと首を傾げていれば、ちょんちょんと肩を突かれたので振り返るとそこには金田一君が。
「さっき及川さん、その…京香さんから教えてもらったサーブでノータッチエースを」
「そうなの?!それは…落ち込むね。ありがとう金田一君」
コソコソっと耳元で先ほどの徹君の活躍を教えてくれた金田一君。微笑んで背中をポンポンと撫でると、顔を真っ赤にさせて「ととと、とんでもないっす!」と動揺しながら国見君が居る方へと戻っていってしまった。
いい子だなあ金田一君。
なんてニコニコしてその背中を見ていれば、ズシッと頭の上に重みを感じて。左肩にもまた重みを感じた。
「ちょっと、重いんだけど…」
「京香さんは金田一みたいのが好きなんだ?」
「まあ、及川よりはマシだけどなあ…」
「でも金田一だろ?んー…まだ岩泉の方がオススメなんだけど」
「あいつ奥手だしね。岩泉だってそうでない?」
恐らく頭と肩に手を置かれている為、振り返って誰なのか確認することは出来ないものの、好き勝手に話を進めていくこの言い方に誰なのかはわかった。
まあ、私にこんなことするのだってこの2人しか居ないだろうけど…