第5章 共同戦線ー4日目ー
「烏野と青城が仲良くしてるの嬉しいねーって話してたの」
「ははっ、本人たちからすれば不思議だけど。去年まで交流なんてなかったしなー」
「そうだな。烏野とこんなに濃い関係になるとは思わなかった」
隣にきた孝支君と一君を見上げながら話せば、2人とも軽く頷く。白鳥沢にはこんな良い関係の学校なかったから羨ましいと呟けば少し驚いた表情になった。
「だってさ、若利のスパイク返せるような高校って居なかったし。いつも大学生相手だったから…今でもそうみたいだけど。だからね、こんな素敵な関係にあるんだから大切にして欲しい。本気でやりあって健闘を讃えられるような」
薄っすらと微笑めば、互いに顔を見合わせた後強く頷いてくれたのがまた嬉しくなる。
悔いを残さないように頑張れ!と同時に少し背伸びをして頭を撫でてあげれば、少し頬の赤くなった2人を見てニシシと笑った。
「京香ちゃーん!岩ちゃーん!菅原くーん!準備出来たからこっちおいでよー!」
「はーい!よし、花火だ花火!行くよ!」
少し離れた場所から徹君が思いっきり手を振って私たちを呼んでくれたので、返事をしてから2人の手を取って走り出す。
もう20歳だけど。
高校生たちと一緒に居るんだからはしゃいだって良いよね。
袋から出されてバラバラになった花火は山のように積み上げられていて。まあ、人数を考えれば一人当たりの本数はあまりないのだろうけど。
「終わったらちゃんとバケツに入れること。当然だけど人に向けないこと。火傷しないように気を付けろよ」
徹君からの注意事項。おそらく青城は大丈夫だろうが、烏野は少し心配になる。まあ大地君も力君も孝支君も居るし何とかなるだろう。
ロウソクやライターで火をつければ、そこら中が明るくなる。赤や緑、黄色といったカラフルな火花がとても綺麗だ。
「京香さん!俺の火、貰って下さい!」
ずいっと差し出されたのは手持ち花火。白色の火花を散らしている花火を持った夕君がニカッとした笑みを浮かべている。
どうやら部員たちが多いから私が遠慮でもしているのかと思ったらしい。微笑んでから受け取れば、夕君の花火にそっと近付ける。
シューっと音を立てて私の手持ち花火に火が付けば、綺麗なオレンジ色で。
「夕君のユニホームみたいに綺麗な色」
私がそう言えば、夕君は嬉しそうに笑ってくれた。