第5章 共同戦線ー4日目ー
「あれ?徹君、シュークリームなんてあった?」
「は?シュークリームって…オイ及川!それ俺がこっそり買ってきたやつ!俺のシュークリーム返せ!」
「やだね!俺が見つけたんだから俺のもん!置いておいたマッキーが悪いんでしょ!」
皿に料理を乗せて、どこか上機嫌で戻ってきた徹君。手に持っている袋を指摘すれば、どうやら買い出しに行った際に貴大君が内緒で買ってきたシュークリームのようで。
子供同士の喧嘩のようにシュークリームの取り合いへと発展してしまい、どうしようと一静君を見上げれば、ほっとけば良いよなんてマイペースに好物のチーズインハンバーグを食べてるし…
頼りの一君は怖がってしまった旭君へのフォローで必死だ。
ここはアレだ、大地君しかいない。
孝支君と一緒に旭君をからかってる大地君の袖を引けば、無言で未だぎゃーぎゃーと騒いでいる徹君たちを指差す。
「ん?どうした…?て、あぁ…」
隣の孝支君も私の指差す先を見れば、苦笑いをしている。
飛雄君と翔陽君の喧嘩よりはまだ止めやすそうなのだが…
ポン、と両肩を同時に叩かれ見上げると頼もしい笑みを浮かべてくれた大地君と孝支君。流石、烏野の良心…いや両親。
「ほらお前たちいい加減にしなさいよ。後輩たちに示しがつかんだろう」
「京香さん困ってんぞー」
徹君の肩を大地君が、貴大君の肩を孝支君が掴んで互いを引き離す。何度見てもこの2人の連携は凄い。
物理的ではあるが、離れたことによって静かになった2人。とりあえずはホッとため息をつく。
結局はシュークリームを取り返したのは貴大君。
料理もまともに取れず、見つけたシュークリームさえも食べれず、徹君は完全に拗ねてしまったようだ。これはまた困ったな…
「徹君、私と好きなもの買い出しに行く?」
「えっ本当?!行…」
「ちょ、それは待った!ダメだ」
「それならコレ及川にやる。俺と行こ、京香さん」
「それもダメだべ!行かせない!」
「ちょっと!なんでダメとか言うわけ!澤村クンと菅原クンは京香ちゃんの親ですか!マッキーも手のひら返さないで!」
あ、あれ。良かれと思って言った言葉を間違えたかな…
シュークリームを徹君へ放り投げ、ニシシと笑う貴大君に肩を組まれる。そして徹君のとばっちりが大地君と孝支君へ…
あ、頭痛くなってきた……