第5章 共同戦線ー4日目ー
流石に部員全員に見られていると緊張する。みんなの表情が笑顔なので、怒られるようなことではないのだと推測出来るのだが。
「この合宿の間、掃除とか洗濯とかしてくれてありがとう」
「ドリンクもタオルも、コートの準備も。毎日助かったよ」
「「あざーっす!」」
大きな声と共にガバッと全員が私たちに頭を下げた。思わずビクッとしてしまったのだが、今までマネージャーの仕事をしていてこんなにも感謝されたことはなかったので嬉しくなる。そして目頭が熱くなった。
「俺たちからの感謝の気持ちとして、マッキーとまっつん主導で夕飯を烏野とうちとで作ったから食べてね!」
青城と烏野が私たちマネージャーの為に、そう思ったら段々と視界がぼやけてくる。ダメだ泣いてしまいそう、軽く目元を指で拭えば堪えるようにグッと拳を握り締めた。
視線を動かせば、貴大君と一静君の自信たっぷりな表情が見えてクスリと笑ってしまった。
「さぁ、冷めないうちに食べようか!好きなもの食べて良いけど、暴走するなよお前ら…て、ねえ俺の話最後まで聞いて?!」
徹君がまだ何か言っている最中だったが、我慢出来なくなったであろう烏野の野生児たちは料理に群がる。
貴大君や一君、一静君までも徹君の話を無視して既に皿に料理を盛り付けていた。
やっぱり徹君の扱いはこれなんだね、とおかしくなってクスクス笑えば私たちも行こうと潔子ちゃんと仁花ちゃんの手を取って、部員たちの輪の中に混ざった。
生野菜は勿論、マカロニサラダやポテトサラダ。ビーフン、煮物、豚汁。肉団子みたいなものはもしかしてハンバーグだろうか。
「これってもしかして…」
「ん、チーズインハンバーグ。俺の好物」
小さめのそれを皿に取りながら呟いた言葉に反応してくれたのは一静君。やっぱりそうか、と微笑めば結構美味いよと笑ってくれた。
「みんな練習後で大変だったでしょ。ありがとね」
「まあ、うちの部員は多いし烏野も手伝ってくれたし。楽しかったよ」
もぐもぐとしながら移動を始めた一静君についていく形で、私も皿と箸を持って一君たちが待つテーブルへと向かった。