第5章 共同戦線ー4日目ー
「…あの、僕の顔何かついてます?」
「へっ?あ、ごめんなさい!大丈夫です!」
暫く見つめてしまったのだろう、きょとんとした武田先生が首を傾げればハッとして慌てて首を振る。
何で先生に彼女が居ないのか不思議でした、なんて言えるわけがない。行きましょう、と未だに不思議そうにしている武田先生に言えば歩き出す。
とりあえず今は彼らの気持ちを受け止める。代表決定戦で全力を尽くせるように支えてあげる。それが今私のするべきこと。
そう考えると、何だかスッキリとした。
早く学校に戻って、彼らのバレーを見たい…力になりたい。
休日なので、当番医は内科と外科のみ。
案内されれば、暫くして診察問診の後CTを撮ることに。
また待合室に帰され武田先生と共に待っていると、再び呼ばれて診察室へ。
緊張しているのがわかったのか、武田先生はそっと背中を撫でてくれて、大丈夫ですと微笑んでくれたので頷いた。
CTに異常もありません。もし違和感を感じたらまた受診して下さい。
病院の先生から告げられた言葉に安心した。もし、異常があったのなら徹君は自分を責めるだろうから。それこそ、自分を壊しかねない。それだけは何としてでも避けなければと思っていた。
「あ、僕会計してくるので、待っていて下さい」
「え、武田先生っ」
診察室から出れば、私の返事を聞く前に受付へと行ってしまった武田先生の背中を見送りながら、素直に椅子に座って待つことにした。
ブルブル、と携帯が震えたのがわかりポケットから出して確認すると、LIN○が数件入っていた。大地君、孝支君、飛雄君、徹君。一つずつ既読をつけていけば、徹君の内容からは一君からのメッセージも入っていた。
みんなそれぞれに、大丈夫ですか?といった心配した文章と、早く戻ってきてといった文章だった。
ここまで必要としてくれていることが嬉しくて、ありがとうという言葉と、検査して大丈夫だったということ、午後からは一緒に練習しようといった内容を送った。
特に徹君には丁寧に返事をする。本当に大丈夫だから、何も心配しなくていいと。
するとすぐに返事が返ってきた。
『本当に良かった。安心した!お詫びを兼ねて今度デート行こう☆』
……ん?お詫びで、デート?徹君と、私で…?
それってお詫びと言うのか?などと考え込んでいたら、会計を終えた武田先生が戻ってきた。