第1章 合縁奇縁
体育館を覗けば、レシーブ練習をしているようだった。
体育館の窓は身長165cmの私が少し背伸びすればしっかりと見えるような高さで、窓の格子を握ればジッと練習風景を見つめる。
あ。日向君見っけ!・・・うーん、レシーブはいまいち。
おー黒髪の頼りになりそうな子はうまいなぁ。3年生かな?よく動けてる。あれはよく練習してきたってことだね。返球も安定してる。
白鳥沢での練習とはまた違う、高校生らしい姿に微笑ましく思いながらも、果たしてライバル校となり得るだろうかと考え始める。
最近烏野は名前を聞かない。
"堕ちた強豪、飛べない烏"という不名誉な名まで付けられて。
暫く考えていると、どうやらレシーブ練習が終わっていて休憩となったらしい。
黒いジャージを腰に巻いた眼鏡のセクシーな女の子と金髪の可愛い女の子の元に集まっていくのが見えた。
この学校の強化点はレシーブ。きっと若利のスパイクを拾えるのは1人・・・でもそれでもきっと弾き飛ばされてしまうだろう。
そうなるとブロック?金髪の眼鏡の子が一番身長が高そう。少し猫背気味なのともう少し腕の出し方を何とかすれば良いブロッカーにはなりそう。
まあ何度も言っているのだが、あくまでも本人に向上の意思があれば、だが・・・
「・・・あの、誰かに用事でもありますか?今休憩中なので呼んで来ますよ?」
ふと体育館の扉のほうから声がすれば、ビクッとして其方のほうを向く。
どうやら覗いていたことに気づかれたらしい。
眼鏡をかけたひょろっとしている小柄な男性、黒いジャージではないところを見ると顧問かコーチだろうか。
「あ、いやっ!用事とかではなくて・・・」
「あーーーー!!」
「ッ!?」
なんて言えばいいのかと悩んでいると、同じ方向から大きな声が聞こえてまた私は驚いて身体をビクッとさせる。
へ、変な声出なくて良かった・・・
大声が聞こえた方を見れば、日向君が私のことを指さして顔を青くさせながらわなわなと震えている。
その声を聞きつけて、どうしたんだ。とぞろぞろと烏野の部員たちが体育館から出てくる。
みんな不思議そうに私のことを見ている。
そりゃそうだよね、知り合いなんていないもん。
「あー、と・・・ただの通りs」
「ウシワカと一緒にいた白鳥沢の女の人!!」
部員達の表情が固まる。
え、それ言っちゃう・・・?