第1章 松野家長女、6人の兄がいます。
「ちょ、そんな冷たい顔しなくてもよくない!?てか、なにそれ!?膝の上なに乗せてんの!?は!?」
「見てわかんないのトッティ?」
「わかるわ!!だから聞いてんの!!闇松兄さんのくせに何瑠璃に膝枕してもらってんの!?」
六人の兄の中でも可愛い顔をしている方であるトッティ兄さんの顔は…崩壊している。そして、この兄も私の許可も得ずにズカズカと部屋の中に入ってきた。
『一松兄さんはいいんです~。他の兄さんとは違ってちゃんと私の部屋に入ってくる前に声かけてくれたもん』
「だってさトッティ~」
「~~僕もいつもはちゃんと声かけてるじゃん!」
四男と六男の口喧嘩は見ていて楽しい。四男兄さんにどうしても勝てない六男兄さん…楽しい。本人たちには言えないけど。
「瑠璃!!僕にも膝枕して!!」
『え~、今満席です~』
「一松兄さん退いて!!」
「この席、優先座席ですから」
「意味わかんないんだけど!?」
あぁ、どんどんトド松兄さんの顔が…スタバァで見た顔になってる…。
「トッティ!僕と半分こしよ!!」
『え?』
「十四松兄さん!いいの!?いいの!?」
「いいよー!!」
十四松兄さん待って、膝枕を半分こ?にするために?寄ってあげてるけど?無理だよ、膝の上に頭二つを乗せるだなんて。
「瑠璃!足伸ばしてー!!」
『あ、はい』
突然十四松兄さんが頭をあげたから、膝枕やめる気になってくれたのかと思ったけど…そういうことか。
「わ~い!!十四松兄さんも瑠璃も大好き~!!」
少し痺れかけていた足をゆっくりと伸ばすと、すぐにトド松兄さんが枕にしてきた。
『ちょ、痺れかけてるから!!やめて!!』
「うぉ~い!!僕も僕も~!!」
『話ちゃんと聞いて!?』
私の話をまったく聞いてくれない十四松兄さんはやはりダイブするように私の膝へ。
「瑠璃~、痛いんだけど」
『そこ、骨だからね。私の方が痛いと思うんだけど』
文句を言うトド松兄さんが枕をしている場所は、膝下だからね、骨だからね。絶対私の方が痛い。
『文句あるなら退いてよ』
「我慢します」
「俺の枕は柔らかいよ~」
「闇松のくせして自慢なんかしないで!?」
…重い。