第1章 松野家長女、6人の兄がいます。
「一松兄さん!瑠璃充電中ッスか!!」
「ええやろ~羨ましいやろ~」
「わいも充電したいねん~」
『じゃあ…こっち来ます…?』
一松兄さんと十四松兄さんの謎の関西弁トークからいきなり私に振られて咄嗟に出たイントネーションが確実に合ってないだろう関西弁。
「ええんでっか!?」
『ええんやで』
「うぉぉ!!お邪魔するで~!!」
『うっ…じ、十四松兄やん…ダイブしやんといてぇな…』
一松兄さんが頭を乗せてない方の太ももを提供してみたら、予想以上にダイブされた。うん、痛い。
「十四松~瑠璃が痛がってるで~ちゃんと謝り~」
「ごめんなさい!!!」
『いいよ、十四松兄さん。そんなに痛くなかったから』
十四松兄さんに対して一番甘くなってしまうのも自覚してる。なぜか憎めない。憎めない可愛さ。
…この状況、やばい。
成人した兄弟が仲良く膝枕って、誰得?気持ち悪いでしかない。…でも、まぁいいか。私の部屋なんだし。松野家以外の人に見られるわけでもないし。
「瑠璃~、明日はバイト~?」
『うん、明日はバイトなんだよね~…』
「そっか~…」
『ごめんね十四松兄さん…』
「いいよ!じゃあ今日はいっぱい遊ぼ!!」
『野球以外ならね!』
十四松兄さんは野球が大好きだけど、さすがに無理だ。今まで何回も野球させられたけど無理。十四松兄さんと野球だなんて死ぬ。
「十四松、瑠璃はもうおばちゃんなんやから野球は無理やで」
『一松兄さん、足痺れてきたから退いてくれる?』
「ご、ごめん」
可愛いと思っても、おばちゃん扱いされたらさすがに怒ります。
「あ、ねぇねぇ、トド松知らない?」
『トド松兄さん?あ~、そういえば朝から見てないかも。デートなんじゃない?』
トド松兄さんは、私のバイト先にこれ見よがしに女の子を連れて現れる。「瑠璃~遊びに来たよ~」なんて言いながら。
「瑠璃のバイトが休みのとき、絶対デートには行かないよ」
「ねー!だから家に居ると思ったのに!」
『え、そうなの?』
「ちょっと!?バイト休みとか聞いてないんだけど、瑠璃!?」
これまたスパーンッと開けられた襖。
『トッティ兄さん静かにして』