第1章 松野家長女、6人の兄がいます。
『やっと一人になれた…』
おそ松兄さんとカラ松兄さんが部屋から追い出し、部屋には私一人。狭い部屋に大の字に寝そべる。
私が中学生になったとき、母さんに「あんたも一応女の子だからね。男だらけに女の子一人って言うのは心配だから、狭いけど今度からこの部屋で寝なさい」と、与えられたのが、今自室としているこの部屋。
あの時は、なんで私だけ一人部屋?兄さんたちから羨ましがられて虐められて散々だったけど…。母さんありがとう、狭くてもこの部屋を貰えてよかったです。
『休みの日なのに家でゴロゴロか…。彼氏作ろっかな…』
休みの日なのに遊んでくれる彼氏がいないというのは…いや、考えるのはやめよう。
「彼氏作ろっかなって…作れるもんなら作ればいいじゃん」
『へッ!?』
急に声を掛けられたからびっくりして変な声が出てしまった。というか。
『チョロ松兄さん!?なんで居るの!?』
「なんでって?僕の家だから居るんだけど。悪い?」
そうだけど。いや、そうじゃなくて。さっき兄さんたちを追い出したとき襖閉めたよね!?なに勝手に襖開けて入って来てんの!?
『勝手に部屋に入ってこないで!?』
「え?そんなに気にすることなくない?」
『…私、一応女の子です』
「知ってるけど?」
チョロ松兄さん、自分のことを常識人とか言ってるけどさ、全然常識なってないからね?全然まったく。常識皆無に近いよ?女の子の扱い方おかしすぎるから。
『はやく童貞卒業して女の子の扱い方勉強して』
「は!?童貞関係なくない!?てか、女の子の扱い方ぐらいマスターしとるわ!!」
いやいや、マスター出来てないから。
『あ〜も〜どうでもいいからはやく出てって!』
「瑠璃さぁ、年上のことなんだと思ってんの?そんな風に育てた覚えないよ?」
『チョロ松兄さんに育てられた覚えないですから』
「ああ言えばこう言う…!!」
チョロ松兄さんの顔がどんどん崩壊していってる。あぁ、もう…。
『今度ニャーちゃんのライブに付き合うからさ、今は一人にさせて?』
「仕方ないなぁ」
チョロい。
「休みの日なんだからゆっくり休みなよ」
そう言ってチョロ松兄さんは私の部屋から出て行った。
いや、休みの日なのにゆっくりさせてくれないのは兄さんですけど。