第1章 松野家長女、6人の兄がいます。
「どうした瑠璃!?泥棒か!?」
「カラ松兄さん…!」
屋根から落ちたのか、カラ松兄さんはドンガラガッシャーンと大きな音を立てて一階からやって来たのではなく、二階の窓から現れた。おでこから血を出しながら。
「おそ松…何してるんだ」
「いや、何してるんだはお前じゃね?屋根で何やってんだよ」
「俺は、迷子のバードたちにポエムを聞かせてやっていたんだ」
「どうせカラスか鳩だろ?肩に鳥の糞ついてるぞ」
「えっ」
…待って、カラ松兄さん全然役に立ってないんだけど。おそ松兄さんは未だに背中に張り付いたまま。
「鳩でもカラスでも何でもいいから!おそ松兄さん退けて!!そのためにカラ松兄さん呼んだんだから!」
「なんだ、そんなことだったのか」
そんなことって…肩に鳥の糞つけて何呆れてるの。
「おそ松、退いてやれ」
「え〜、今瑠璃ちゃん充電中なの〜」
「力尽くで退かすぞ?」
「退きます」
「…ありがとうカラ松兄さん」
カラ松兄さんの言葉ですんなりとおそ松兄さんは背中から離れてくれた。おそ松兄さんは兄弟の中ではラスボス的存在で一番強いけど、力では…カラ松兄さんの方が強いらしい。
「フッ…これぐらい容易いもんだ。礼など要らないからな?」
「お礼するつもりはなかったから安心して?」
「えぇ…」
「カラ松おっつ〜」
力ではカラ松兄さんの方が上かもしれないけど、やっぱり兄弟の立場としてはおそ松兄さんの方が上なんだよなぁ…。
「カラ松兄さん、とりあえず肩についてる鳥の糞取ろう?」
「あっ…」
とりあえず、カラ松兄さんにティッシュを渡してとっととこの部屋から出て行ってもらおう。バイトのないせっかくのお休みなんだから、1人でゆっくりさせてください。
「瑠璃〜、兄ちゃんとパチンコ行こ?」
「行かない」
「えー、ケチ〜」
「おそ松、せっかくの瑠璃の休みなんだ。ゆっくりさせてやろう」
「さっすがカラ松兄さん!ささ、二人とも出てって!」
「はぁ〜、瑠璃が小さかった頃は兄ちゃん兄ちゃんで可愛かったのになぁ…」
「はやく出てって」
兄さん二人を部屋から強制撤去させた。