第1章 松野家長女、6人の兄がいます。
「お〜い!誰かいねぇの!?ねぇ!?お兄ちゃん寂しいんだけど!?」
玄関から大きな声…自分のことお兄ちゃん呼びするのはおそ松兄さんしかいない。はい無視。構ってちゃん野郎にいちいち構ってあげるほど私は暇じゃない。
そう思って、返事をせずに二階にある自分の部屋でファッション雑誌をペラペラめくっていたら、ドタドタと階段を上る音が聞こえてくる。部屋にいるのがバレるのも時間の問題か…。
「あー!いるじゃん!?瑠璃ちゃんいるじゃん!?なんで返事しないの!?ねぇ!?」
「なんで返事しないの?じゃない!!ここ一応私の部屋!!お年頃の女の子の部屋!!ノックなしで襖開けるって何事!?何回注意すればいいの!?」
「は〜?何がお年頃の女の子〜だよ。お前も20歳過ぎてんだろ。もうおばちゃんだろ?」
「うるさい」
ノックなしで襖を開けたのは、案の定おそ松兄さん。デリカシーってものがなさすぎる。
「もし着替えてたりしたらどうしてくれるの…」
「ラッキースケベっていうことで、目に焼き付ける」
「サイッッッテ〜〜」
「お年頃の男の子舐めんなよ?」
そうこう口喧嘩してる間に、おそ松兄さんは勝手に私の部屋に入り込んで寝転がってる。
「勝手に部屋入って来ないでって言ってんじゃん!」
「え〜?瑠璃ちゃんのケチ〜」
そう言うと、おそ松兄さんがとうとう私の背中に貼り付いてきた。
「あ〜も〜抱きついて来ないで!!ウザい!!」
暑い、重い、邪魔。
「ウザいはなくない!?俺、お兄ちゃんだからな!?長男様を敬え!!」
「そういうのがウザいって言ってんの!!」
「まだ言うかコイツ!反抗期!?そういう子には〜お仕置きで〜す」
お仕置きなのか知らないけど、背中に張り付いていたおそ松兄さんは背中から一度離れたかと思ったら…。
「!?あっはは!!や、やめてぇ!!っひゃ〜!!セクハラッッッ!!」
「脇腹くすぐりの刑だ!」
「〜〜ッッや、やめて!!バカ!!」
おそ松兄さんの手が私の弱い脇腹を満遍なくくすぐっている…耐えられない!
「兄さ〜ん!カラ松兄さ〜ん!!助けて〜!!」
「え、カラ松居んの…?」
あ、くすぐるの止まった。
「屋根で歌ってるはず」