第2章 兄×6は、私に対して反抗期の頃がありました。
「大丈夫!!!ただの反抗期だよ!!!」
……え?
『は、反抗期…?』
「そー!反抗期!!思春期だよ兄さん達!!」
「ひーッ!!やめて十四松兄さんっ、し、し、ししゅん、ししゅんきっ」
「」
トド松兄さんはツボってるし、一松兄さんはちゃんと息をしているのかもわからない。
『で、でも反抗期って…母さんとかにするもんじゃないの…?』
母さんに反抗期ならともかく、妹に反抗期…?そんなに兄さん達ってマザコンなの…?
「そ、そういう、もんだよ…は、反抗期って…ッ、母親とか関係なくッ、身近な人に…す、素直になれないだけッだから……ッッッ」
「そーそー、恥ずかしくなっちゃうだけなんだよッ!!ほんっと兄さんたちウケる〜ッ!!!」
辛うじて生きていた一松兄さんと、畳をバンバンと叩くトド松兄さんの言うことからして、反抗期とやらは親関係なく身近な人にしてしまうもの…ということか…。
頭の中でそう理解すると、テレビとかで見たことのある反抗期は、『クソババァ黙れ』『いちいち話しかけてくんな』『うざい』
『……反抗期、いつ終わるのかな』
これからそういう言葉を言われるのかと思うと、気が遠くなる…。十数年もはやく母親の気持ちを体験することになるとは…。
落ち込んでいたら、私の表情でわかったのか十四松兄さんが頭を撫でてくれた。
「大丈夫!!兄さんたちが瑠璃に変なこと言ったら…」
「「「僕たちが兄さんたちをぶちのめすから」」」
いつの間にかツボから戻っていた一松兄さんとトド松兄さんも加わって3人がハモった。さすが六つ子、と思ったけど、3人とも目が笑ってない。
『いや…気持ちは嬉しいけど…兄さんたちも好きで反抗期してるわけじゃないんだし…』
「遠慮しないで!やるときはやんなきゃいけないの!弟をナメんなってね」
トド松兄さんは「さ〜、僕はカラ松兄さんとこ行ってこよ〜」と言って部屋から出て行き、十四松兄さんは「じゃあ僕はチョロ松兄さんー!!」と言って部屋から出て行き「じゃあおそ松兄さん」と最後に一松兄さんが部屋から出て行き…。
六つ子の弟に分類される3人の兄の存在を頼もしく感じるとともに、敵に回すのはやめよう、とも感じた瞬間だった。