第2章 兄×6は、私に対して反抗期の頃がありました。
「何か言われたんでしょ」
『いや、別に何も…』
一松兄さんは、たまにこういう風に鋭いときがある。いつもはのうのうとしているのに。
「え〜!おそ松兄さんたちまた瑠璃に何かしたの!?」
「うっわ〜…ほんと兄さん達飽きないよねぇ…」
『ち、違うって…!』
十四松兄さんとトド松兄さんまで一松兄さんの言うことを鵜呑みにして私のことを心配してくれる。
兄さん達のことで悩んでるのは間違いないけど、兄さん達が悪いんじゃなくて嫌われてしまった私が悪いだけであって…。
「ねぇ瑠璃」
『な、なに一松兄さん…?』
一松兄さんが私の膝に手を乗せてきた。
「僕たち、そんなに頼りない?相談もできない?」
『た、頼りなくなんてない…!』
「じゃあ言って」
一松兄さんはいつもの気怠そうな目ではなく、真剣な目で見つめてきた。
「そうだよー!僕たちだって瑠璃のお兄さんなんだから!もっと頼っていいんだよ!」
「そうそう、もっと甘えなって!」
十四松兄さんもトド松兄さんも私を宥めるように頭や肩を撫でてくれる。
そうだ、兄さん達も兄さんなんだから、兄さんのことを相談してもいいのか。
自分でもよくわからない答えが浮き出てきたが、兄さん達にもっと頼ってもいい、という答えが出てきたのがわかった。
『え…っとね』
どう言えばいいのか、言葉にするのに少し時間がかかったが、さっきおそ松兄さんたちに言われた言葉や、嫌われてしまった、ということを伝えた。
すると、四男から六男までの兄さんたちは笑い出した。
『え、なんで笑うの…?』
少し涙目で話した私の前には、お腹を抱えてまで笑う兄さんたち。
一生懸命話したのに、それはなくない?ひどくない?
『そ、そんなに笑うことないじゃん…嫌われちゃったのに…』
「いやいやいやいや!!瑠璃っ、それはっ、嫌われたんじゃなくてっ」
トド松兄さんは笑いすぎて喋れないらしい。転げ回らなくてもいいじゃん…。
「…ッ」
一松兄さんにいたっては声も出ていない。
「瑠璃ー!大丈夫だよ!!それ嫌われてない!!」
唯一ちゃんと喋れた十四松兄さんが私の両肩をポンポンと優しく叩いてくれた。
『で、でも…あんな風に言われたら…』