第5章 無血の花嫁(ルフィ)
「ちゃんと説明してよ、ルフィ」
「だーかーら、おれはこいつとケッコンするって決めたんだよ」
「結婚って、アンタ! どういうことか分かってんの!?」
「あー、ナミ。そいつはさっきおれが言った」
ナミが船首に座るルフィに詰め寄ると、ゾロは面倒くさそうにあくびをしながら口を挟んだ。
船長が結婚すると騒いでいる、との知らせを受けた麦わらの一味は、船着場に停泊していたサウザンドサニー号に緊急集合した。
こんなことがなければ、ナミとロビンはもう少しショッピングを楽しんでいただろうし、チョッパーは綿菓子屋さんを見つけたところだった。
すでに本人から報告を受けていたゾロとウソップ以外はいまだに状況を飲み込めず、ルフィとヨシノを交互に見ている。
「この先の航海はどうするつもり?!」
「今までと変わらねェ。こいつを一緒に連れてくだけだ」
彼の突拍子もない発言には、慣れっこであるはずの乗組員だが、今回ばかりは誰もが驚きを隠せず、その言葉の真意を探ろうとしていた。
「にしてもルフィの口から結婚って言葉が出るとはな」
最初は驚いたものの、ルフィの結婚には反対しないウソップ。
「アウ! スーパーな展開じゃねェか、オイオイ!!」
賛成しているのか反対しているのか分からないフランキー。
「認めねェ・・・! おれは認めねェぞ、ルフィ!! こッッんな素敵なレディーと、け、けっ、ゴホッ、結婚なんて・・・! つーか、なんでお前ばっかり・・・!」
興奮しすぎて煙草の煙にむせながら、悔し涙を流すサンジ。
「ヨホホホホ・・・おめでとうございます、ルフィさん」
「なあ、ケッコンってなんだ?」
ブッと屁をこきながら祝福するブルックに、結婚そのものを知らないチョッパー。
様々な反応を見せる仲間たちに、ルフィは傾いた太陽を背にしながらニッと笑った。