第5章 無血の花嫁(ルフィ)
「おい、ルフィ。一人で片付けるんじゃねェよ」
「あ、わりぃ、ゾロ」
たった一撃で、25人もの海兵を吹き飛ばした・・・!
この人たちの強さは、理解の範疇を超えている・・・
このままでは、たくさんの人が傷つく。
ヨシノは自分とナミの頭上に出来た、雷雲を見上げた。
“本当は、嵐が来ればいいのにって思ってるんです”
ずっと、逆さのテルテルボーズを作っていたのは・・・なぜ?
“だから、幸せな結婚式は雨と一緒に全部流れちゃえばいいのにって思ったりする。気づけばテルテルボーズを作って、部屋で逆さまにぶら下げてる。最低でしょ?”
私も幸せな結婚式を挙げたかった・・・
大切な人と手を取り合い、鐘の音とともに人々に祝福される。
ずっと、それを望んでいた。
「やめて・・・」
ルフィと結婚した私の頭上には、雷雲。
「やめて・・・」
人を傷つけてでも、自分が幸せになろうとしたからだ。
「みんな、やめて!!」
「え?」
ナミがヨシノを振り返り、首を傾げた。
その先では、ゾロが三本の刀を自警団に向けようとしている。
「もう・・・もう、やめてください!!」
今、分かった・・・
祝福されたいと願うのは、周りに愛する人たちがいるから。
鐘が鳴って欲しいと願うのは、その音色を愛しているから。
バオブ島で幸せを感じたことは無かったけれど、バオブ島を憎んだことはない。
このままでは、どれも失ってしまう───!!
嵐のないバオブ島には、雷雲も、争い事も似合わない。
ヨシノは麦わら海賊団と島の人間の間に立つと、片膝をつき優雅な仕草で一礼をした。