第5章 無血の花嫁(ルフィ)
麦わら帽子を被った男と、その後ろには数人の男女。
さらに、変な動物、ロボット、ガイコツがやってくる。
あまりにも異様な顔ぶれに、その場は騒然となった。
「麦わら帽子・・・左目の下の傷・・・まさかあれは・・・」
「緑色の髪・・・三本の刀・・・海賊狩りのゾロか!!」
乗組員全員が賞金首だという、麦わらの一味。
世界でその名を知らぬ者はいない、“悪名”高き海賊団だ。
なぜ、ここに・・・!!
「か・・・海軍・・・! 誰か、海軍に通報を!」
キラウィの男にそう指示をした司祭だが、麦わら帽子を被った男の隣にいる踊り子を見るや否や、雷に打たれたような表情に変わる。
「ヨシノ・・・!!!」
海賊と一緒にいるのは、“直系”の血を引くキラウィの乙女。
この島の貴重な財産だ。
ヨシノの手を引く麦わら帽子の男は、ニッと笑った。
「おっさん! おれたちも今日、ケッコンしたんだ。鐘を鳴らしてくれよ」
「ヨシノとお前が・・・結婚?! いったいどういうことだ!!」
司祭は物凄い剣幕でヨシノを見たが、ヨシノはただ俯いているだけ。
結婚を否定しないということは、海賊の言っていることが本当ということか。
「お前はキラウィの“直系”だ。同じ血を引く者以外との婚姻は許されない」
「・・・・・・・・・・・・」
「お前たちの結婚は認められることもなければ、お前たちのために鐘が鳴ることも決してない! さあ、そんな海賊と一緒にいないで、こっちに戻りなさい!!」
すると、今度はルフィが怒鳴り声を上げる番だった。
「なんだよ、おっさんには関係ないだろ!! キュウリの女は他にもいっぱいいるんだから、いいじゃねェか!」
“キラウィな”とツッコむゾロの言葉にかぶせるようにして、司祭も叫ぶ。
「関係ないわけがないだろう!!」
ヨシノが辛そうに目を閉じた。
「ヨシノは、私の娘だ!!!」