第5章 無血の花嫁(ルフィ)
“美しくなくても・・・華やかでなくても・・・私には心がある・・・!”
「おれたちは、ちゃんとお前には心があるって知ってるぞ」
“枯れようと・・・朽ちようと・・・私には感情がある・・・!”
「おれたちは、お前のどんな感情も受け止めてやる」
海賊狩りだろうと、
泥棒だろうと、
嘘つきだろうと、
女好きだろうと、
バケモノだろうと、
敵だろうと、
改造人間だろうと、
ガイコツだろうと。
ルフィは彼らを仲間として受け入れ、命を賭けて守ろうとする。
そんな彼だからこそ、ゾロを始めとした仲間たちもまた、命を賭けて船長についていく。
これほどの男に手を差し伸べられる幸せは、四つの海、グランドライン、どこを旅しても見つからないかもしれない。
「心配しねェでおれと一緒にいろ! さっき、“鐘”も鳴らしてきちまったしな!」
ルフィの言う“鐘”とは、丘の頂上にある幸せを鳴らす鐘。
「でも・・・私は貴方と一緒にいても、貴方と結ばれることはできない・・・キラウィの男性としか子供を授かることができないのに、それでもいいの?」
「え、なんだお前、ガキが欲しかったのか?」
ルフィは“そんなの早く言えよ”とでも言いたげに眉間にシワを寄せると、すぐに口の両端を上げた。
「じゃ、一緒に冒険しながらキュウリの男を見つけよう! そんで、そいつとガキを作りゃいいじゃねェか!」
“キラウィな”とツッコむゾロに、“そこかよ!”とさらにツッコミを入れるウソップ。
ナミは“あんた、意味分かって言ってんの?”と呆れたように首を振り、ロビンは“ふふふ”と微笑んでいる。
あまりにも突拍子のない言葉に驚きを隠せずにいると、ルフィはヨシノに向かって真っ白な歯を見せた。