第9章 以心伝心
「っ…しょ…ぅ…」
僅かに開く隙間から俺の名を呼ぶ智くん。
舌を絡めるだけでは足らず、口内を縦横無尽に動き回る。
「ん…ふ…ぅ…」
今まで動かなかった智くんの手が俺の服の上を滑った。。
抵抗の為ではないようだ。
掴もうとしたのか、優しい指先が短い爪を立てながら降りて行く。
流石に限界かな。
そう思いゆっくりと唇を離す。
…と、2人の間を銀の糸が繋いだ。
そしてすぐ真ん中で切れる。
「はぁっ…ぁ…」
大きく息を吸い込むとゆっくり呼吸を整えるように吐き出す。
限界ギリギリまで我慢してくれたんだね。
一生懸命呼吸を整えている智くんに思わず笑みが浮かぶ。
「だって翔くんといっぱい繋がってたかったんだもん」
俺の考えていることを見透かしたかのように、息も絶え絶えに言ってくれた。