第9章 以心伝心
「んー、まぁ確かに複雑だね。
でも周りがなんと言おうと俺らは俺らだよ。
夫婦じゃなく恋人。
いずれは夫婦になりたいけどね」
今はまだ恋人のままで充分だ。
「そうだね、翔くんの言う通りかも。
周りは周り、だよね?」
ふふ、と照れたように可愛く笑う智くん。
「智くんがそんなこと気にするなんて意外かも。
なんかあったの?」
彼らしくない言動に敏感に反応してしまう。
これが俺の長所であり短所。
「なーんも?
俺だってたまには考えるよ」
ちょっと拗ねたように言った。
「そうだね」
確かに周りのことを気にしない人なんて、居ないような気がする。
皆少なからず周りの目を気にして過ごす傾向があるんだ。
勿論、俺も例外じゃなく。