第9章 以心伝心
「ねー、翔くん」
収録終了後の楽屋に響く智くんの声。
「ん?何?」
「夫婦みたいだよね」
「誰が?」
周りに夫婦みたいな人居たかな。
「俺と翔くんが」
ニコッと嬉しそうに微笑んだ。
「そうかな」
“ 夫婦 ” という言葉に照れて頬を掻く。
「うん」
智くんの言葉は短いものが多い。
だから俺が話したり広げたりしないと、話はすぐ終わる。
そんな智くんから話を切り出すなんて珍しい。
「俺は恋人なのに夫婦ってちょっと複雑だなぁ」
嬉しいような、悲しいような。
そんな複雑そうな顔をしている智くん。