第9章 以心伝心
「チョコ食べよ」
他の皆が帰り、2人きりとなった楽屋でチョコレートを頬張る智くん。
食べる時に脹れる頬がなんとも可愛い。
リスみたいだな。
「智くんて、そういうのに興味ないのかと思ってた。
でもやっぱ気にするんだね」
そりゃそうか、人間だって生き物だもんな。
恐らくチョコが入っていると思われる、膨れた方の頬を人差し指で突く。
「止めてよ、もうっ」
笑ってその手をはたく智くんに頬が緩むのを抑えられない。
「翔くんも食べたいの?
食べる?チョコレート」
怒ったりはせず、にっこりと笑う。
「あ、今の可愛い。
もう1回言って?」
「もー、1回だけだよ?
翔くんも食べたいの?
食べる?チョコレート♪」
嫌な顔1つせず応えてくれる。
優しいよね、智くんって。
俺はそんな智くんの優しさにいつも甘えてるような気がする。