第6章 思惑の味
「和の嘘つき」
パクリと耳を口に食む。
「あっ…」
「ねぇ、和…?
どこがキスするべき場所なの?
どこにキスされたいの?」
こんなに耳元で囁かれて、智の存在を肌で感じて、変なことされて…。
「く、ち…」
もう俺の理性も限界みたい。
「口?
ここがどうかしたの?」
ツー…と指で唇をなぞられる。
「口にキス…して…」
理性の崩れた俺は、顔を羞恥に色に染めか細い声で伝えた。
「ふふっ、いーよ」
優しい笑みのあとにチュッとキスを落とす。
「智のバカ…。
本番に支障が出ても知らないから」
仕事に私情を挟むなんて、そんなこと絶対にないけど。
今は悪態でもつかなきゃ恥ずかしくて死んでしまいそう。