第6章 思惑の味
「…キスするならちゃんとするべき場所にしてくださいよ」
どんなつもりかは知らないけど焦らされた気分になる。
もどかしい…。
「するべき場所ってどこ?」
惚けたように首を傾げる。
ニヤッと笑う智は絶対確信犯だ。
「今日の智なんかイジワル」
いつもボーッとしてるのに。
「よく言うでしょ?
好きな子程苛めたいって」
ニッコリと笑う。
「言わないよ、そんなこと」
小学生のガキじゃあるまいし。
「言うの。
俺が和にイジワルするのは和が好きだからだよ。
ね?だから教えて?
どこがキスするべき場所なのか」
真剣に、でもどこか楽しそうに言う。
「っ…」
言える訳ないでしょ、そんなこと。
どれだけ恥ずかしいことだと思ってんの。