第6章 思惑の味
「うん、そうだよ。
俺らなら付き合う前からイチャイチャしてたし問題ないよ。
多分ね」
「それはそうだけど…」
なかなか首を縦に振ってくれない。
「でも、誰か来たらどうするんです?
誤魔化せますか?この状況で。
というより早く降りてください!」
グイグイと俺を押し返そうとする。
「その時はその時だよ。
大丈夫、なんとかなるって。
それに…あんま抵抗してないみたいだけど?」
ボソリと和の耳元で囁く。
抵抗したのは最初だけで、それ以降は全く大人しい。
「抵抗したって…ムダだから」
観念したように告げる。
「ムダ?」
「力じゃ智には敵わないし、痛い思いするのだけは嫌だから」
「和に痛いことはしないよ、絶対に」
「…分かってますよ、そんなこと。
ただ素直に言えないだけですから!」
ヤケになったように勢いで言った。
「ふふっ、可愛いね」
チュッと和の額にキスを落とす。