第1章 キスの味
「ニノ…好き」
我ながら情けなくなるぐらい弱々しい声。
「ニノじゃないでしょ?」
「和…好き」
間違いに気づき言い直す。
「妬いたんですか?潤くん」
はっきり言われる。
「悪いかよ」
「いーえ?」
クスリと笑われる。
その間もゲームから片時たりとも目を離さない。
「どうしたんです?」
ゲーム機の電源を落とし、近くにあった机の上に置く和。
「和…キスしよ?」
和をこっちに向かせ目を見て尋ねる。
「昨日しましたけど」
間髪入れず、遠回しに断られる。
和はそういう欲求が少ないのか、あまり求めて来ない。
無理矢理するのは好きじゃないから、いつも俺から求める形になる。
たまには和から求めて欲しいけどな。
「昨日したとか、そういうんじゃなくてさ…」
モゴモゴと口籠る。
どう言ったら伝わるか分からないから、ギュッと回した腕に力を込める。